読みたい人、書きたい人のミステリ超入門

第14回 複雑な話は長編が向いているのか?(2)

自分の考えた謎・解決・物語は、短編に向いているのか、それとも長編に適しているのか。それは、一体何を基準に判断すればいいのだろう。
電子書籍文芸誌「yom yom」に掲載中の人気連載を出張公開。

◆オビにするか、タスキにするか?
 やや強引だが、話を分かりやすくするために、長編を着物のオビに、短編をタスキに例えてみよう。
 オビは、布地にかなりの幅と長さがあり、遠目からでもそれがオビだとはっきり分かる。離れた所から、全体の優雅さを鑑賞することもできれば、近寄って、細部の刺繍や飾りを楽しむこともできる。生地が広くて厚い分、結び部分の構造もしっかり見えるから、自分で結べる結べないは別として、「ここ、どういう仕組みになってるんだろう?」というような疑問はあまり生じない。
 つまり、長編は全体として太く通った一本の筋があって、多少細部に分からないことがあっても物語を楽しむのに問題はない、という特徴がある。複雑に見える作中の技巧などは、刺繍や飾りと同じで、近寄れば分かるし楽しめるが、それに気付かなかったからといって、物語そのものが成り立たなくなるわけではない。
 長編においては、ダブルプロット、トリプルプロットのように、

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新潮社
2018-07-20

この連載について

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読みたい人、書きたい人のミステリ超入門

新潮社yom yom編集部 /新井久幸

ミステリ作家志望者、必読! 「新潮ミステリー倶楽部賞」「ホラーサスペンス大賞」「新潮ミステリー大賞」など、新潮社で数々の新人賞の選考に携わってきたベテラン編集長が考えるミステリの読み方・書き方の<お約束>とは――。電子書籍文芸誌「...もっと読む

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コメント

editor_of_SS cakesの方の、最新回もアップされてました。前回の続きです。 11ヶ月前 replyretweetfavorite

yomyomclub 煽っておいて更新を忘れていました。申し訳ないです。→ 12ヶ月前 replyretweetfavorite