尾関憲一
【
第5回】知っていることを手放せば見えてくる
尾関憲一さんは『ブラタモリ』の視聴者から「あれはアドリブですか?」「台本があるのですか?」とよく聞かれるそうです。出演者が、まるで台本などないかのように自由に振る舞っているからでしょう。
実は、ブラタモリには台本は存在します。それも、かなり細かいことまで書いた台本が。しかし、尾関さんは台本を出演者には一切見せません。それは、なぜか……台本に込めた想いを語ります。
台本はきっちり作る
『ブラタモリ』を観た方からよく、「あれはアドリブですか?」「台本があるのですか?」と聞かれます。出演者が、自由に話しているように見えるからでしょう。
実は、台本は存在します。それも、かなり細かいことまで書いた台本が。
ここで、タモリさんがこう言う——
久保田アナウンサーがこうリアクションする——
そこで先生が「実は……」と説明を始める——
具体的なセリフをびっしり書いていたのです。
セリフだけではなく、動きも決めています。歩くルートもすべて想定し、どこで何に気づいてほしいか、通行人に質問してほしいか、地図を広げてほしいか……。
一本分の台本はA4用紙30枚以上になりましたが、出演者には一切見せていません。
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この連載について
尾関憲一
終了から1年今なお再開を望む声が寄せられる、探検散歩番組『ブラタモリ』。マニアと思われていた地理や歴史の世界を鮮やかにヒットにつなげたのはNHKの敏腕プロデューサー、尾関憲一氏でした。『東京カワイイ★TV』『天才てれびくん』『熱中時間...もっと読む
著者プロフィール
NHK制作局・エンターテインメント番組部チーフ・プロデューサー。タモリが街を歩きながら、都会に潜む地形や都市の意外な秘密を解き明かす探検散歩番組『ブラタモリ』をプロデューサーとして担当。その他、『東京カワイイ★TV』『迷宮美術館』『BSマンガ夜話』『BSアニメ夜話』『天才てれびくん』を担当。1988年、早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHK入局。世間では見逃されている脇道にスポットを当て、「小さな世界に潜む大きな魅力」をたくさんの人と共有することを信条に、番組の企画・制作に取り組んでいる。