キテレツ大百科の歌」でまかない作り?

昨年までの10年間、山小屋で働いていた山ガールならぬ小屋ガールの吉玉サキさん。山小屋スタッフの人間模様や働き方、悩み、恋などをつづった1話完結のエッセイです。
今回は山小屋の食生活ついてお届けします。近くにスーパーもコンビニもない山小屋の食料事情とは?

山小屋の食料はヘリ輸送

標高2000メートル以上、登山口から歩いて5時間以上。

下界から遠く離れた北アルプスの山小屋では当然、歩いて行ける範囲にスーパーもコンビニもない。

では、どうやって食料を入手するのか?

そう、ヘリだ。

山小屋では数週間に一度、ヘリで食材を上げる(ヘリの頻度は小屋の規模によって違います)。それ以外には食料を調達する方法がない。

当然、客食(お客様に出す食事)もスタッフの食事も、小屋にある食材だけで作る。醤油を切らそうが味噌を切らそうが、買いに行くことはできない。

つまり、山小屋は食材が非常に入手困難だ。

それをふまえた上で、この先をお読みいただきたい。


まかないは唯一の楽しみ?

私がいた小屋は、基本的には数人の厨房スタッフが全員分のまかないを作る。暇な時期のみ、まかない係を当番制にし、スタッフ全員が交替で作っていた。

まかない係じゃない者は気楽なもんである。

仕事が終わると厨房を覗き込み、小学生のように無邪気な口調で
「今日のごはん何~!?」
と言ったりする。

それどころか、肉料理だとわかるとガッツポーズで喜び、野菜の煮物だとあからさまにガッカリしたりする。いい大人がメニューで一喜一憂する姿を、私は山小屋以外で見たことがない。

娯楽のない山小屋では、そのくらい食事がモチベーションに直結する。

特に、忙しい最盛期は「食べることしか楽しみがない」とみんな口を揃える。若者の口から聞くとちょっと物悲しいフレーズだ。

会社側もスタッフのそういった感情を汲んでくれていて、まかないはそこそこ豪華だ。少なくとも、お腹いっぱい食べられる。

ちなみに、別の小屋にいた知人は「食事の量が少なくて毎日ひもじかった」と言っていた。だけどそういう噂はめったに聞かないので、食事が充実している小屋がほとんどだと思う。

……というわけで、私のいた小屋のまかないは、少なくとも「量」は充実している。

しかし、当然ながら「味」は作る人間の腕によるのだ。


「キテレツ大百科の歌」だけを手がかりにコロッケを作る
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小屋ガール通信

吉玉サキ

第2回cakesクリエイターコンテスト受賞作! 新卒で入った会社を数ヶ月で辞めてニート状態になり、自分のことを「社会不適合者」と思っていた23歳の女性が向かった新天地は山小屋のアルバイト。それまで一度も本格的な登山をしたことのなかった...もっと読む

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saki_yoshidama 「キテレツ大百科の歌でまかない作り!?」は今日の午前10時まで無料公開中です。あと20分くらいしかないけど……。是非読んでみてください!! https://t.co/z59Y6fkUOI 10ヶ月前 replyretweetfavorite

saki_yoshidama 「小屋ガール通信」の第3話、無料公開は明日(16日)の10時までです。興味のある方は今のうちに是非! 毒にも薬にもならないお気楽エッセイです。無気力なときにピッタリ!(なんて宣伝だ) 明日は第4話が公開です。 https://t.co/z59Y6fkUOI 10ヶ月前 replyretweetfavorite

saki_yoshidama 山の日だから山小屋エッセイをどうぞ⛰️山小屋バイトのまかない作りの話です。 ……今日はみんなアホみたいに忙しいんだろうなぁ。全国の山小屋スタッフ、頑張れ!! #山の日 #山小屋 #北アルプス https://t.co/z59Y6fkUOI 10ヶ月前 replyretweetfavorite

TAKENO111 私も「初心者のくせに料理本を読まない人」だなぁ(笑 10ヶ月前 replyretweetfavorite