仁丹で培った独自の技術で最先端の企業に
仁丹はもともと、生薬を練った小さな粒を銀箔で包み、空気による酸化を防ぎ、携帯できるようにしたものです。このコーティング技法を発展させて開発したのが「シームレスカプセル」です。
シームレスカプセルとは、その名の通り、「継ぎ目のない」カプセルのこと。通常のカプセルでは固形物しか入れることができず、液体を入れると、継ぎ目からしみ出てしまいます。ところが、森下仁丹は継ぎ目のないカプセルを開発したことで、液体から微生物まであらゆるものを充塡できる、非常に応用範囲の広い技術を培っていたのです。
そこで、森下仁丹にとって「包んで守る」技術を発展させることは、会社のコアとなる重要な事業だと考えました。
この技術を仁丹以外で活かして成功していたのが、機能性表示食品『ビフィーナ』でした。
微生物を生きたまま封じ込めることができる技術を応用し、生きたビフィズス菌をカプセルに封じ込め、腸まで届けることで腸内環境を良好に保つ『ビフィーナ』は、1993(平成5)年の発売以来、多くの愛用者を生んだヒット商品となりました。
森下仁丹は、この『ビフィーナ』を主軸とするヘルスケア事業にさらなる伸びしろを見いだし、この技術を医薬品、健康食品へと広げてはいました。
確かに、それによって徐々に利益は上がっていましたが、そもそもヘルスケア事業にはライバルが多く、そこだけに注力していても勝ち目は少ない、と私は考えました。
「シームレスカプセルの技術を、ヘルスケアや食品以外の分野でも事業化できないか?」
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