「高畑さんて、低体温ね」
学生時代、誰だったか忘れたけど、何人目かに付き合った女の子に言われたことがある。
「そうかい?」
(それはどういう意味?)とは聞き返さなかった。だいたいの意味はわかってる。ぼくは他人にそれを気づかれるのが怖かったんだ。
自分がおそろしくつまらない存在で、女の子がぼくの外面をみて想像している「一緒にいる楽しさ」をおよそ提供できないということを。
「ぼくと一緒にいてもつまらないだろうな」と、客観的に自分のことをみることができるのに、それをどう改善していいのかわからない。
なにか気の利いた冗談をいうセンスだったり、女の子を喜ばすようなサービス精神なりが決定的に欠けているんだ。
そうやって自分のことを自己分析して、自分を納得させていた。
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