【第5回】
統計家が見たビッグデータ狂想曲

あえて断言しよう。あらゆる学問のなかで統計学が最強の学問であると。 どんな権威やロジックも吹き飛ばして正解を導き出す統計学の影響は、現代社会で強まる一方である。「ビッグデータ」などの言葉が流行ることもそうした状況の現れだが、はたしてどれだけの人がその本当の面白さを知っているだろうか。この連載では、cakesという新しいプラットフォームに相応しい、最新かつ最も刺激的な統計学の世界を紹介したい。(毎週火・金更新)

ビッグデータはビッグなビジネス

 前回も触れたが、ビッグデータというバズワードが流行りはじめてずいぶん経つ。

 毎週のようにどこかしらの企業がビッグデータに関するプレスリリースを発表し、雑誌やウェブメディアなどでは「ビッグデータの今後」であるとか「これからのビッグデータ時代を生きるために」といった記事が掲載されている。
 今やITに少しでも関心のある社会人で「ビッグデータ」という言葉を聞いたことのない人は珍しいのではないだろうか。

 「ビッグデータ」というコンセプトにビジネスチャンスを期待する人間は、ハードウェアベンダーやシステムインテグレータ、コンサルティングファームなどさまざまな業界に存在している。ついでに言うと、さしてITにも統計学にも詳しいわけでもないビジネス畑の評論家たちも、判を押したように「これからはビッグデータの時代だ」と言っている。

 住所録だろうが入出金記録だろうが、仕事関係のデータといえばエクセルシートで管理するぐらいの発想しかない人でも新しいデータベース技術に漫然と興味を持ち、100年以上前に発明された統計手法すら理解していない人でも「データマイニングをうまく使えばなんかすごいらしい」という漠然とした期待を寄せているのだから、統計家として驚くべき時代だと思わざるを得ない。

技術論ばかりが先走る

 しかしながら、彼らは果たしてデータがビッグであること、あるいはデータをビッグなまま解析することが、どれだけの価値を生むのかどうか、果たして投資するコストに見合うだけのベネフィットが得られるのかどうかわかっているのだろうか。

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この連載について

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統計学が最強の学問である

西内啓

あえて断言しよう。あらゆる学問のなかで統計学が最強の学問であると。 どんな権威やロジックも吹き飛ばして正解を導き出す統計学の影響は、現代社会で強まる一方である。「ビッグデータ」などの言葉が流行ることもそうした状況の現れだが、はたして...もっと読む

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