土屋太鳳が「なんとなく苦手」と語る人の話

NHK連続テレビ小説『まれ』の主役に抜擢され、一躍注目を浴びた女優の土屋太鳳。それ以降も映画やテレビドラマで順調にキャリアを重ねています。体育大学出身のためスポーツ全般が得意で快活なイメージがあり、実際そういった役柄を演じることが多い彼女。その眩しさを直視したくない人のための、土屋太鳳入門を考えます。

なんとなく好き・なんとなく嫌い

トークイベント終了後などに、「cakes読んでます!」と声をかけてくださる方に、冗談まじりで「好きになれない芸能人っています?」と聞くようにしているのだが、恐縮しつつ小さな声で「高橋……克、典です」と言ってくる人がいたり、晴れやかな表情で「ゆずです!」と前のめりになる人がいたり、反応が様々で面白い。先日のイベント後にも聞いてみると、自分よりも少し年上と思われる、上品な所作を体得されている感じの女性が、少し悩んだ挙句、「ジャストミートの人ですね。もう長年、どうにも……」と静かに答えた。長年どうにも、と思っているのに福澤朗という名前が頭に定着していないのは、定着させてたまるかと、脳が回避しているからなのだろうか。

芸能人は「好き・嫌い」というよりも、「なんとなく好き・なんとなく嫌い」を浴びなければならず、なんとなくなのにそこまで言うなんてヒドい、と思っているに違いない。だが、テレビを見ている私たちは、あちこちから無尽蔵に売り出されてくる芸能人に対して、まずは「なんとなく」を付着させたまま、好き・嫌いの判断を下す。テレビという装置は、基本的に、出ているその人のことが好きになるような情報ばかりを押し出してくるから、「なんとなく好き」から「なんとなく」を取り外すことは容易であっても、「なんとなく嫌い」から「なんとなく」を取り外すことは容易ではない。ジャストミートの人に対して「もう長年、どうにも……」との距離感で付き合っているのは、実にテレビ的だと思う。実生活ならば3回くらい会えば取り外せそうな「なんとなく」が残り、「長年、どうにも」で固定されるのである。

息切れしたまま、番宣
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コメント

shiori_thyf 「個人的な根性は、全体的な迷惑になる」っていう。これ。衝撃受けた。私は迷惑かける側でよかったな…。 https://t.co/RSm1qleg5H 4ヶ月前 replyretweetfavorite

yukihgs 作品内容ではなく、番宣だとか作品外の印象で「なんとなく」評価されるというのは、テレビっぽい。 5ヶ月前 replyretweetfavorite

SDZ4nTYXFo69YbZ 「個人的な根性は、全体的な迷惑になる」向上心のない無能の考えがよく分かる良い記事だと思う https://t.co/7Uy9SXhxgH 5ヶ月前 replyretweetfavorite

patanosuke まあ…何処に苦手を見つけるのかは人それぞれで、それはどうにも変えられないからね。大変なお仕事だよね。 5ヶ月前 replyretweetfavorite