サンタさんとラピュタの道
鹿児島港から「フェリーとしま」に乗船し、一番はじめに着く島が、
トカラ列島最北端の口之島 (くちのしま)。
その北側約70㎞先には、世界遺産登録後パワースポットブームと山登りブームも相まって、島中が観光客と移住者で賑わう屋久島がある。うっすらと雲がかかっていて、ぼやけているものの、宮之浦岳をはじめとする屋久島の山々の全景を口之島から見るコトができる。
かつて、屋久島から口之島へ高速艇を走らせ、観光客にトカラ列島へも足を延ばしてもらおうというプロジェクトがあったらしい。が、結局、叶うコトはなく、トカラ列島への足はフェリーとしま一択のままだ。※1
ところで、私はけっこうな方向音痴である。
中学の修学旅行でグループ行動のとき、「絶対にこっちで合ってる!」とグループメンバーを180度違う方向に誘導してしまったマヌケな過去をもつ。地図を見ながら堂々と。しかも、そういうコトが何度もある。
なので、 看板があろうがなかろうが、特に道端で人に出会う率の低い島(つまり、人口が少ない島)では、人を見かけたら念のため道を確認するようにしている。
「『フリィ展望台』へは、こっちの道であってますか~?」
消防車車庫前の分かれ道。2人の男性がなにやら作業をしている。ちょっぴりふくよかな体格で白髪混じりの髭のおっちゃんが、ぱぁぁぁっとサンタクロースのようなにこやかな笑顔で答えてくれた。
「この道を、ず~っと歩いて行くと『フリィ展望台入口』って看板があるから!」
サンタのおっちゃんは、さらに言葉を続けた。
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