なぜ残念な管理職は部下を管理してしまうのか?

部下を管理するのが管理職の仕事ではない!?
それが一体どういうことなのか?

180人を率いるベンチャー社長であり、『起業3年目までの教科書』の著者であるトライフォートCEOの大竹慎太郎氏が、「管理職の仕事で大切なこと」について解説します。


(こんな会議中にも・・・)

管理職の仕事は部下を管理することではない?

管理職初心者の人の中には、「部下がサボっていないかが心配で、いつも部下のことを監視し、管理・監督までしてしまう」という人もいるだろう。

また部下に対して苛立ちを覚えている時、その管理職の人は、「なんでこんなこともできないんだ?」「俺はもっとやっていたぞ!」などと、ストレートに“減点法的視点”で部下を眺めてしまっているだろうと思う。

しかしそうしていると、部下の人は、その管理職の人に信頼されていないことを敏感に感じ取って、どんどん仕事をするのが嫌になっていく。管理職の人からも、どんどんどんどん心が離れていく。

なので、部下を常時監視し、マイクロマネジメントを行ってしまうようなこと(細かい部分にまで口を出し管理監督するようなこと)は止めておいたほうがいい。

管理職の仕事の要諦のひとつは、「部下が伸び伸びと、意欲を持って働き続けることのできる環境を用意し続けること」だ。その中にあって、短気を起こすたびに部下を怒鳴りつけ、細かく管理・監督ばかりしていては、部下は疲弊して逃げ出したくなるばかりである。

だから、部下と信頼関係を築き、お互いに居心地のいい場にするためには、何でもかんでもいつでもどこでも部下のことを気にして、あるいは監視して、機会を見つけては話しかたりしてさえいればいい、という、話“ではない”。

ここではまず、「人というものは往々にして、無関心ではないものの、自由に振る舞わせてくれる人に対して最も居心地のよさを感じる生き物なのである」ということを覚えておいていただければと思う。

部下とは日々どう接すべきか?

では、普段はどういうメンタリティで接すれば部下に会社をすごく居心地のいい空間だと感じてもらえて、管理職の人自身もいつでもどこでも部下を管理監督しようなどとは思わなくて済むようになるだろうか?

そのためには、「普段は部下を空気のように捉える」「圧倒的な加点法的視点で部下を眺める」のふたつを心がけるようにするとよい。

ひとつ目に関しては、国立研究開発法人「農業・食品産業技術総合研究機構」上級研究員の篠原信さんの『自分の頭で考えて動く部下の育て方』(文響社刊)という本の記述がとても参考になったので、ここで紹介したい。

それは、「部下と会話をする必要がなく、部下が一人で仕事に取り組んでいる間は、部下を『空気のように』捉えて、部下のことを気にせず、自分の仕事に集中したほうがいい」である。

確かに、基本的に普段は「部下は空気だ」と考えていれば、あなたは必要以上に部下のことを気にしなくてよくなるし、そのぐらいの空気感を部下は一番居心地良く感じてくれて、伸び伸びと仕事に取り組んでくれるようになる。

ふたつ目のことを心がけるべき理由は、部下を“減点法的視点”で眺めていると、いつまでたっても、部下の人も管理職の人も、延々に続く負のスパイラルから抜け出せなくなってしまうからだ。

そうならないために必要な思考が、「部下を『ダメだ、ダメだ』と断罪する視点で部下を眺めるのではなく、『おー、ここはできるようになった』『これもできるようになった!』という“加点法的視点”で部下を眺めること」である。

人の親というものは、赤ちゃんが初めて寝返りができただけで、「わー、よくできたね!」と大喜びするものである。そうやってできるようになった一つ一つのことを、庇護者である親が、心から喜んでくれるからこそ赤ちゃんは、また色々怖がらずに、なんでもやってみようという気になるのである。

だから部下を眺める時の視点も、赤ちゃんの親のような気持ちでいけばいいわけである。部下ができない時は「しょうがないよね。これからできるようになればいいよ」という温かい視点で部下を眺めて、そうして、部下が少しでもできる様になったことがあれば、「おー、よくやったね! なんでそれできたの!?」と、必要以上に喜んでいくようにしよう。

そんなことに気をつけていれば、部下の人も管理職の人も、毎日気持ちよく一緒に仕事に取り組んでいくことができるようになる。

「部下が自ら進捗報告をしてこない問題」をなくす方法

ただ通常は、部下を「加点法的思考で眺め」「普段は空気のように捉えて必要以上に干渉せず」に伸び伸びと働いてもらいながら、どんどん成長してもらうとしても、「部下が自ら、進捗報告を全然してこなくて困っている」という人もいるだろうから、ここでは、部下が自然と問題解決思考を持って、自発的に動いてくれるようになる方法についても書いておきたい。

部下の人に日々の仕事の進捗報告を行うことをルーティーン化してもらうためには、管理職の人が部下の進捗報告を受けるべき、ある最適なタイミングがあるのだ。

そのタイミングとは、「部下の日々の進捗報告は、毎日行う『朝会(あさかい)』の中で行おう」である。

実はこの方法、部下の人の仕事の進行管理を適切に行いつつ、同時にクオリティの確保や、問題点の発見とその解決策の導出までを自動的に行うことができる方法なので、ぜひぜひどの会社での仕事にも取り入れていただきたい方法である。

トライフォートでは、原則として毎日“全プロジェクトのメンバー全員(=部の全員)が集まって行う”“部単位の”10分ほどの「朝会」(朝礼)を行っている。

その具体的な中身は次の通りだ。

(1)まず音楽をかけて朝会のはじまりを告知し(この方法はプロジェクトごとに異なる)、“各プロジェクトのメンバーごとに”集まり、全員立った状態で、次の4つの指標について、<順調><要注意><危険>のどの状況にあるかを、“各プロジェクトのメンバー全員で”話し合ってもらう。

① スケジュールの進捗
② クライアントや外部協力企業との関係性
③ 収益性
④ メンバーとの関係性

またそのステータスが、<順調>から<要注意>に変わったり、<要注意>から<危険>に悪化した時には、どうやってリカバリーするかを、“各プロジェクトのメンバー全員で”話し合ってもらい、“その場で”解決策まで出してもらう。

(2)全プロジェクトの(1)の話し合いが終わったら、次に、各プロジェクトの責任者である“プロジェクトマネージャー全員に”前に出てきてもらう。

その上で、“各プロジェクトマネージャーに”、自分のチームのプロジェクトが置かれている状況の説明を、今度は“部の全員に向かって”してもらう。

その際、“部の全員から見える位置にあるホワイトボード”に、各プロジェクト名と先の①〜④までの項目が書かれた表(上図参照)があるので、“各プロジェクトマネージャー毎に”“部の全員に向けて”、次の発表をしてもらう。

① 最初に各項目の状況を、<順調>なのか<要注意>なのか<危険>なのかを示すため、<順調>は緑、<要注意>は黄、<危険>は赤の付箋を、ホワイトボードの該当するマス目に貼ってもらう。前日から変更がない場合は、付箋はそのままにする。

② ①を示しながら口頭で、「プロジェクトの状況の説明」と、「悪化している場合は、何が起きているか」。そして、「その原因と解決策」を“セットで“発表してもらう。

③ 4つの項目のすべてが<順調>である緑になった日は、部署の全員で拍手をしてそのプロジェクトのメンバーを褒め称える。

この方式の注意点

ただ、このやり方の運用には一つ気をつけるべきところがある。それは、「黄<要注意>になるのは、“大切な警告”であり、悪い意味ではないので、黄になっても、ちゃんとリカバリーすれば“詰められることではない”」ということを、メンバー全員に周知させることである。

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起業3年目までの教科書 はじめてのキャッシュエンジン経営

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サイバーエージェント、ZOZOTOWN、ユニクロ、ライブドア、電通が実は、ある「共通の起業法」を用いていた!? サイバーエージェントで全社MVPをとり、起業した会社を半年で70人に、3年で180人規模にまで育てた、『起業3年目の教科書...もっと読む

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コメント

juntaigatomo https://t.co/GfIg3agTJG 3ヶ月前 replyretweetfavorite

masumasu_o 「「部下を育てる」とは、「部下が育つのを待つこと」に極めて近いもの」 https://t.co/eX4ufNaXrz 3ヶ月前 replyretweetfavorite

moxcha 意外とおもしろかった。 3ヶ月前 replyretweetfavorite

masumasu_o 「人というものは往々にして、無関心ではないものの、自由に振る舞わせてくれる人に対して最も居心地のよさを感じる生き物なのである」 3ヶ月前 replyretweetfavorite