桃山商事の恋バカ日誌

バターが原因!? カップル間の些細すぎるケンカの火種

「失恋ホスト」として数々の恋愛相談を受けてきた恋バナ収集ユニット「桃山商事」の3人が、新感覚の恋バナ談義を繰り広げるこの連載。今回のテーマは「ケンカの火種」です。日常の些細なことですが、誰もが持っているマイルールの違いにより対立する男女のエピソードが、わんさか溢れてきました。

バターを横から削るか? 上から掘るか?

【登場人物】

清田隆之
桃山商事・代表
1980年生まれの文筆業

森田雄飛
桃山商事・専務
同じく1980年生まれの会社員

ワッコ
桃山商事・係長
1987年生まれの会社員

清田 桃山商事の「恋バカ日誌」、今月のテーマは「ケンカの火種」です。

ワッコ 前回が「自分史上最高のエロ」だったから、だいぶ差がありますね。

森田 ぐっと地味なテーマになって。しかもケンカそのものじゃなくて、ケンカのきっかけとなったエピソードを紹介していくという、ニッチな恋バナをお届けします。

清田 ケンカって言っても、些細でくだらないケンカから、別れにつながってしまうような深刻なケンカまで、幅があるよね。

森田 まずは些細なエピソードから。これは「バター」がケンカの火種になったという話です。

ワッコ いかにも些細ですね(笑)。

森田 会社の先輩の話で、ある朝彼がパンにバターをぬっていたら、妻に「前から気になってたんだけど、バターを横に削るのやめてくれない? 縦に掘ってよ!」と言われたんだって。それで「ふつう横に削るでしょ?」「いや、うちは昔から縦に掘る型だし!」と言い争いになり、その後2~3日お互い口をきかない冷戦状態になった。

清田 『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』的な(笑)。きっかけの些細さと、その後のケンカの深刻さとのギャップがすごいよね。でも、こういうことってよくある気もする。たとえば食器洗いのスポンジを、縦に立たせておくか横に寝かせておくかでケンカしたという夫婦の話も聞いたことがある。……なぜかこれも縦か横かだな。

ワッコ 相手のやり方を見て、初めて自分のこだわりに気づくこともありそうですよね。バターエピソードの彼女もおそらく、掘り方をすごく意識して生きてきたわけじゃないと思うんですよ。彼のやり方を見て、「あ、私はバターを横に削られると嫌なんだな」と気づいた瞬間が多分あったのではないかと。

森田 確かにそうだね。一緒に住んでると細部を共有するようになるから、自然と気づきは増える。気づいた後は、そのことばかりが目についちゃうだろうし。

省エネ VS 利便性、プリンターをめぐる思想対立

清田 今の話で思い出したんだけど、最近プリンターを買ったんですよ。

ワッコ また些細な抗争の匂いが……(笑)。

清田 俺はフリーランスだから、自宅で作業することが多いんだよね。これまでは原稿を刷り出して確認したいときに、いちいちコンビニまで行ってプリントアウトしていた。でもプリンターが来てからはPCのショートカットキーを押すだけになったからすごく便利で重宝していて。

森田 俺とルームシェアしてたときも、通りの向かい側にあるセブンイレブンまで毎回行ってたもんね。よくそれで5年以上もやってたな。確かにコンビニと自宅プリンターではだいぶ手間が違うだろうね。

清田 プリンターは妻も使うんだけど、ひとつ問題があって、彼女は使ったあとに毎回プリンターの電源を抜くのよ。待機電力が無駄になるのがイヤみたいで。

ワッコ エコですね。何が問題なんですか?

清田 そうすると、俺がワンタッチでプリントアウトしようとしても電源が落ちているという事態が発生するわけ。「あれ?おかしいな?」と、その度にプリンターのところまで電源を入れに行くことになる。常時接続しておきたい派の俺は、その度にちょっとだけイラっとする。

森田 ワンタッチの便利さが大事な代表と、待機電力を抑えたいエコな妻との間で、小さな食い違いが起きているわけか。

清田 行いとして真っ当なのは向こうだというのは理解してるんだけど、自分の中には「待機電力よりも利便性を優先させてもいいのでは?」という気持ちが正直ある。

ワッコ なるほど、それは火種感がかなりありますね。おくさんも、電源入れっぱなしの代表にイラっとしてる可能性も高そうですし……。

森田 それとよく似た話を女性の友人から聞いたことがあって、夫が家で食器を洗うときに、水をじゃーじゃー出しっぱなしにするのがすごく気になると言っていた。彼女は小さい頃から母親に「水を出しっぱなしにしてはいけません」と厳しく言われてきたから、「じゃーじゃー」に対してものすごく敏感らしいんだよね。

清田 電源つけっぱなし派の俺が言うのもアレだけど、それはすごく気になりそう……。

森田 それであるとき夫に対して「じゃーじゃーは止めて」と言ったら、「これを止めることで、どれくらい水道代に影響あると思う? たいしたことないでしょ」と反論されてケンカになった。聞くと彼の実家では“じゃーじゃースタイル”だったらしい。

清田 宗派が違うって感じだよね。経済合理性や便利さ至上主義なのか、エコロジー的な倫理を優先するのか……話し合っても平行線をたどりそう。

ワッコ 生理的な感覚の違いもありそうですよね。気持ち悪いかどうか、みたいな。

清田 そういえば、シティボーイズのコントに「人は水道の水を出しっ放しにした状態で家を離れられるか?」みたいなネタがあったなあ。「いやあ、私はこのまま戻ってきませんよ!」とか言って出しっ放しのまま家を出るんだけど、「ああ、だめだ!」ってすぐに戻ってきちゃうという。

森田 まあ、さっきの夫は単に止めるのが面倒くさいから水を出しっぱなしにしてただけって気もするけど(笑)。


じゃーじゃー

屁理屈で開き直る夫、会話をする気が失せる妻

清田 生理的な感覚や思想信条の問題は人によって違うから、擦り合わせはなかなか難しいよね。俺のプリンター話の場合、良し悪しを問われると何も言い返せないのよ。電気代は二人の問題だし、地球レベルで見ても無駄な電力は少ないほうがいいわけで、それをできるだけ抑えたいっていう彼女の主張は絶対的に正しい。しかも俺は、普段はどちらかというと原発反対的なことを言っている人間なので、「そのくせプリンターの電源はつけっ放しにしておくのか」って矛盾も生じるという……。

ワッコ でも清田代表には、「自分が悪いんだけど……」っていう認識がちゃんとあって、その上で「目をつぶってほしい」と言ってるわけじゃないですか。その認識があるとないとではだいぶ違うと思うんですよね。

清田 そうかな……?

ワッコ そうですよ。そこで「俺は悪くない!」って開き直る人もいますからね。これはわたしの友達から聞いたんですけど、夫がお風呂に入ったあとに洗面所へ行くと、いつも顔や手を拭くためにかけてある小さなタオルがびしょ濡れになってるらしいんですよ。

森田 怪奇現象(笑)。

ワッコ 友達も、「バスタオルがあるのに、なんでだろう?」と思って観察してみたら、彼は手洗い用のタオルで全身を拭いていた。それで彼にバスタオルで拭いてほしいと言ったら、「狭い面積で拭いてあげてるんだから、むしろよくない?」と反論されたんですって。

清田 なんだよその屁理屈は……。

ワッコ むしろ狭い面積でがんばってる俺を評価してほしいっていうドヤ感を出されて、それ以来彼女は会話をする気もなくなったらしいんですけど。

森田 バスタオルを小さくするのはだめなの?

ワッコ 要は「バスタオルを棚から出すのが面倒くさい」ってだけなんですよ。

森田 ああ、そういうことか。ほんとは面倒くさいだけなのに、節約っていう都合のいい理屈を持ってきてるわけね。

ワッコ 彼女は夫の股間を拭いたタオルで自分の顔を拭いていたことがわかって、すごく気持ち悪くなったと言ってました。

清田 それ、彼のほうは「風呂に入ったあとなんだから汚くない」とか思ってそう(笑)。

ワッコ まさにそう言われたらしいです。「なんで俺のこと汚いとか言うの?」と、逆ギレ気味のテンションで。

清田 そこで屁理屈で返しちゃうと、ケンカの火種に火をつけることになるよね。彼女からしたらすっげえ腹立つと思うし。

ワッコ 目をつぶってくれっていう申し訳ない態度じゃなくて、開き直った俺イズムでこられるとムカつきますよ。

清田 「だったらずっと小さいタオルを使い続けろよ」って話だと思うんだけど、彼には別にそういうつもりもないだろうしね。本当は確固たる意志なんてなくて、その場しのぎの適当なロジックで屁理屈をこしらえてるだけなんだよね。

森田 「バスタオルを棚から出す」という小さなコストを削減した結果として、妻に必要以上のストレスや不快感を与えてしまってることを、彼はあんまり意識してないだろうなあ。

清田 長い目でみたら、明らかにデメリットのほうが大きいよね。

ワッコ 確かに、「汚い」とか「気持ち悪い」ってイメージを挽回するのは難しいですよね。

森田 なんかこれ、中年男性がニオイや清潔感を気にしなくなるのと構造的によく似ている気がする。要は油断や甘えがそこにある。

清田 電車や会社で、びっくりするくらいでかい音でくしゃみをするのとも、似てるよね。

ワッコ 絶望しかないですよ。なんでそれを世界が受け入れてくれるって思うんですかね。

森田 かく言う我々も中年だから気をつけないと。

清田 「面倒くささに負けて美意識が目減りしていく」という意味では、俺のプリンター電源問題もやっぱ同じなんじゃないか……という気がしてきたよ。怖いよ~!!!

森田 怖いよ~!!!

ワッコ 二人の魂の叫びが出たところで、今回は締めましょうか。こんな感じで、次回も「ケンカの火種」エピソードをもとに、男女のすれ違いについて考えていきましょう。


清田家のプリンター。小まめに電源が抜かれております

(次回は「ケンカの火種」中編をお届けします)

構成:森田雄飛
文:清田隆之・森田雄飛・ワッコ



桃山商事、ニコ生はじめたってよ!
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この連載について

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森田雄飛(桃山商事) /清田隆之(桃山商事) /ワッコ(桃山商事)

2001年の結成以来、「失恋ホスト」として1000人以上の男女から恋のお悩みやエピソードを聞き続けてきた恋バナ収集ユニット「桃山商事」がお届けする、新感覚の恋バナ談義。普段ほとんど語れることのない恋愛の様々なテーマを毎回ひとつ取り上げ...もっと読む

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