保険に加入するなら「掛け捨て」を選べ!
前項で、入社1年目の人は民間の生命保険に加入するメリットはあまりないという話をしました。
ただ、近い将来、結婚して扶養家族ができれば、死亡保険金が支払われる生命保険などへの加入を検討する必要が出てきます。
いますぐには必要ないかもしれませんが、人生において保険料は大きな出費になるので、いまから最低限の知識を押さえておいたほうがいいでしょう。
生命保険は、「掛け捨て型」と「積立型」の2つのタイプに大きく分けられます。
掛け捨て型は、いわゆる「定期保険」といわれる商品で、月々の支払いが安くすむことがメリットです。死亡したときに支払われる保険金が大きいのも魅力です。
その代わり、保障期間が決まっているため、その期間内に死亡しなければ払ったお金は戻ってきません。つまり、いくら保険料を支払っても、貯金の代わりにはならないということです。
たとえば、30歳から60歳までの30年間、毎月3000円の保険料を払い続けたとしたら、108万円( 3000円×12ヵ月×30年)は払いっ放しということになります。
そのため「掛け捨てはもったいない。将来お金が戻ってくるほうがいい」と考える人が少なくありません。そういう人は、積立型の保険を選びます。
「保険」と「貯蓄」を分けて考える
積立型である「終身保険」「養老保険」「年金保険」などの商品は、「掛け捨て型」に比べて月々の保険料の支払いは高くなります。その差は数倍にもなります。
その代わり、死亡することなく支払いが満期を迎えることができれば、払い込んだ以上のお金が戻ってきます(ただし、途中で解約すると払った分の保険料が戻らずに損します)。
積立型の保険の注目すべきポイントは、いざというとき保障してくれる「保険」部分と積み立ての「貯蓄」部分の2層に分かれるということです。
積立型の保険の貯蓄部分は、毎月コツコツと積立預金をしているようなものです。お金を貯めるのが苦手な人にとっては、半強制的にお金が貯まっていくので、積立型の保険を利用したほうがいいという考え方もあります。
しかし、本来、保険とは、いざというときの「リスク」を回避するためのもの。
だから、「保険」と「貯蓄」を切り離して考えるほうが合理的です。
民間の保険会社の場合、必ず保険金を運用するためのコストがかかっています。 たとえば、保険会社の社員の人件費、C Mなどの宣伝広告費なども当然、加入者からの保険料でまかなう必要があります。
加入者は貯蓄をしているつもりでも、保険会社の運用に関しても多くのコストを支払っていることになるのです。
したがって、「保険」部分以外のお金を保険会社に「貯蓄」するぐらいであれば、 自分で投資信託の積立投資にまわして、より大きなリターンを得たほうがいいのです。
以上のことから結論をいえば、もし民間の保険に加入する必要に迫られたら、「積立」ではなく、「掛け捨て」の保険を選ぶほうが賢いのです。
「がん保険」の加入を検討するのはあり
民間の生命保険や医療保険についていえば、入社1年目のうちは、あえて入る必要はないというスタンスですが、ひとつだけ加入を検討してもいい民間の保険があります。
それは「がん保険」です。
日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡しているといわれます。
若者よりも年配の人のほうが罹患率は圧倒的に高いですが、若者もいつがんにかかってもおかしくはありません。
とくに近親者にがん患者がいたり、生活が不規則な仕事をしたりしている人はがんにかかる可能性が上がりますから、万一のために加入を検討してもいいでしょう。
何しろ、がんの治療はお金がかかります。
治療法の選択肢も多く、健康保険適用外の治療を受けようと思えば、高額の資金を用意しなければなりません。ですから私は、治療費用無制限のがん保険に加入しています。
仮にがんを患ったときには、藁にもすがる思いで、どんな高額な治療法でも試してみたいと思うはずですから。
がん保険の保険料はそれほど高くないので、心配でしかたないという人は加入を検討してもいいと思います。
ただ、その際は、複数の保険会社で見積もりをとることを忘れずに。
保険の内容に大差はありませんから、保険料の安い商品を選んだほうがお得です。
「 年金保険料を払うのはバカらしい」の誤解
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。