継続はゆるぎない自信をくれる
シドニーオリンピック直前の、谷亮子さんの言葉を覚えている方も多いのではないでしょうか。
彼女は、大事な試合の前に度々負傷しているらしいのですが、シドニーオリンピックの1ヵ月前にも左足首の腱を損傷しました。そのため、オリンピック前の1ヵ月間、彼女はほとんどまともに練習できなかったそうです。
そのことについて、シドニーオリンピック直前に、テレビ局のレポーターが彼女に直撃しました。
「足首の状態はどうですか? 練習ができていないそうですが、不安はありますか?」
それを聞いて、ふっと笑い、谷亮子さんはこう答えました。
「7歳のときから毎日練習してますから」
インタビューを観ていた私は、思わず鳥肌が立ちました。
7歳の時から、長い長い間積み重ねてきた辛い練習に比して、1ヵ月程度のブランクなど怖るるに足らずと言ってのけたのです。
この自分の努力量に対する自負は凄まじいとしか言えません。谷選手は、「当然」金メダルを獲るものと期待されていました。金メダルを獲ったら、もちろんみんな褒めてはくれるでしょうが、決して驚かれることはありません。そして金メダルを獲れなければ、たとえ「銀メダル」でも、みんなに「残念」という評価をされてしまうのです。
この重圧は一般人の私からは想像もできません。ただ、この状況で、怪我をし、この質問を受けたら、誰だって予め逃げ道を用意しておきたいと思うはずです。
「思うように調整ができていないので不安は残りますが……」
このくらいの回答をしても、醜悪な言い訳をしているようには映りません。それにもかかわらず、彼女は一切の言い訳をしませんでした。
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