問い合わせメールに感じるモヤモヤ
7月です。学期末試験のシーズンがやってきました。みなさんは、高校までとは勝手が違う試験に戦々恐々! といったところでしょうか。
この時期になると、大学教員であるわたしの元には、試験やレポートに関する問い合わせメールが大量に届きます。わからないことを訊くのは、わからないままにするより百倍いいのですが、問題はその訊き方。「あなたのメール、ちょっとマズいかもよ?」と思うものが、実は結構多いんですよね。
まず「メール本文は宛名と挨拶文ではじめる」というルールを知らない学生が8割ぐらいいます。携帯メールやLINEの影響なのか、いきなり本題に突入するパターンが本当に多いのですが、社会人の常識からすると、明らかにNG。たとえるなら、ノックもせず部屋にズカズカ入っていくようなものです。それはいくらなんでもダメですから「トミヤマ先生 いつもお世話になっております」といった宛名+挨拶文を書いてから、本題に移ってほしいところ。
あとは、フルネームで名乗らない学生も結構多い。「○○大学の佐藤です」とか書かれても、こちらはすぐに顔が思い浮かぶわけじゃありません。過去の教え子も含めると、佐藤さんはもはや無限にいるので「お前はどこの佐藤じゃ?」状態となります(ああ、モヤモヤする……)。
これらのメールはいずれも、「教員は学生のことをあまり認識していない」ということがわかっていれば避けられるものです。担任制度がある大学なら、名字だけでもわかってもらえるでしょうが、そういう制度がなかったり、あるいはひとクラスの人数が何百人もいるような授業では、当然ひとりひとりを把握することなどできはしない。私も2階席がある大教室で毎週360人くらいの学生を相手に授業をしているのですが、とてもじゃないけど、全員の顔と名前なんて覚えられない(すみません、でも許して)。ですから、「〇〇大学の△△という授業に出ている佐藤××と申します」といった具合に書いてもらえると、とても助かります。
大事なのは距離感を掴むこと
そして「先生は友だちではない」ということも肝に銘じましょう。つい最近も「トミヤマさんこんばんは!」からはじまるフランクすぎるメールが届きました。あと「○○がわからなくて困っています(>_<)」といった絵文字入りのメールも届きました。うーん、さん付けも絵文字もどうなんだ。どんなに親しくしていても、メールでは「トミヤマ先生」と書き、絵文字を避けるカタさが欲しいところです。
これはなにも「オイ、こっちは先生なんだから敬えよ!」という意味ではありません。メールで問い合わせをする、というちょっとかしこまったシチュエーションにおいて、ちゃんと「トミヤマ先生」と呼びかけることができる学生というのは「教員と学生の関係性を理解している人」だから、こちらとしても安心して付き合えるのです。それを、他者との「距離感」が掴めていると言い換えてもいい。自分が所属する組織の中で、自分の立ち位置や相手との関係性を把握できているかどうかが、メールの書き方ひとつにも現れてしまうし、大人はそれを即座に見抜きます。
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