名刺ゲーム

ぼくのパパのせいで、あの娘はAV嬢になりました。ごめんなさい。

「結局この世の中、ひとの気持がわからない奴が勝てるんです。そう思いませんか?」。多くの人間を傷つけてきた神田に対して、そう詰め寄る「玉虫色のスカーフの男」。神田の言葉や行動で人生が大きく変わってしまった人たちがいるのだ。おもむろにVTRが流れ始め、犠牲者たちの独白がはじまった――。ゲームの全貌が明らかになる『名刺ゲーム』最終章!

2 玉虫色のスカーフの男

 神田さん、ようやくたどり着いてくれたんですよ、私が大山高校の薄井忍だってことに。タイムリミットまであと二分。神田さんは正解したって思い込んでいますから、聞きたいわけです、私に。

—あなたの恨みは何なんですか? 俺に何の恨みと憎しみがあるんですか?

 ストレートに事実のみを教えてあげましたよ。

—私はあなたに対してありませんよ、恨みも憎しみも失望も。

 和也君の手錠を外すよりも先に、なぜ自分がこんなことに巻き込まれたのかが気になる。まず自分が先、の人。残念。緊張から解放された人間は本性をさらす。

—じゃあ、なんでこんなことするんだ。

—あなたに教えるためです、あなたが傷つけた人のことを。

—なぜあんたがそれを俺に教える必要があるんだ。

 正解したと思って、強気の空気を取り戻してきた神田さんに言ってあげました。

—反省してますか? 色んな人をあなたが傷つけてきたことを。

—反省してる。

 本当に反省してたらすぐにそんな言葉は出ないと思います。きっとね、本音では誰かが勝つためには敗者が出ることは仕方ないとか思ってるはずなんです。必要な犠牲があるって。

—結局ね、人の気持ちが分からない奴が勝てるんです。そう思いませんか?

 いい人と悪い人、勝つ人と負ける人がいる。悪い人の方が勝つことが多いでしょ。

—あなた、変わったでしょ? 遠慮することをやめたでしょ? 違いますか?

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名刺ゲーム

鈴木おさむ

家族も部下も切り捨て、人気クイズ番組のプロデューサーまで上り詰めた神田達也。ある夜、息子を人質にとられた神田は謎の男から「名刺ゲーム」への参加を命じられる。だがそれは、人間の本性を剥きだしにしていく《狂気のゲーム》だった――。WOWO...もっと読む

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