読みたい人、書きたい人のミステリ超入門

第12回 「名探偵みなを集めて『さて』と言い(2)

フーダニットから始まった謎解きがハウダニット、ホワイダニット、叙述トリックへと広がっていったように、解決も、さらなる可能性を求めて広がりを見せ始めているのかもしれない。
電子書籍文芸誌「yom yom」に掲載中の人気連載を出張公開。

 文章だけだと分かりづらい物理トリックを、図版入りで解説している作品もある。物理トリックとは、文字通り「物理的な仕掛け」を駆使した犯行だ。「針と糸で密室を作る」と言えば、分かりやすいだろうか。しかし、「針と糸で密室を作る」と言っても、具体的にどうするのかを、文章だけで説明するのは難しい。そういうときに図版があると、一目瞭然、分かりやすくなる。

 ただし、気をつけねばならないのは、読者がページをパラパラめくったとき、見られる可能性があるということ。一見、意図が掴めないような図版ならいいが、見たら一発で分かる図版だと、読む前からネタが割れるという悲惨な事態に陥る。
 しかし厄介なことに、優れた物理トリックは、構造が非常にシンプルなことが多い。補助線を上手く引けば、あっさりと解ける図形問題のようなもので、図で示せば一瞬で分かるのだ。
 もちろん、すべてを文章で伝えられればそれに越したことはないから、まずはそこを目指すべきなのだが、ネタによっては、一枚絵を眼前に突きつけられることが、くどくど説明されるよりも、余程説得力を持つことがある。
 小説ではないが、そういった好例として、

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

2018年6月号は連続特集「『ポケモン』から20年と未来の日本ゲーム」、俳優・藤原祐規さんインタビュー、恒川光太郎さんと伊藤朱里さんの特別短編など。あらゆるエンタメを自由に楽しむ電子の文芸誌、毎奇数月第3金曜に配信!

yom yom vol.50(2018年6月号)[雑誌]

米光一成,さやわか,吉野万理子,恒川光太郎,伊藤朱里,藤原祐規,千早茜,尾崎世界観,三上延,中江有里,柳井政和,柏井壽,最果タヒ,宮木あや子,武田綾乃,町田そのこ,瀧羽麻子,門井慶喜,中山七里,東川篤哉,堀内公太郎,垣谷美雨,ふみふみこ,鴻巣友季子,新納翔,砂田麻美,カレー沢薫,こだま,新井久幸
新潮社
2018-05-18

この連載について

初回を読む
読みたい人、書きたい人のミステリ超入門

新潮社yom yom編集部 /新井久幸

ミステリ作家志望者、必読! 「新潮ミステリー倶楽部賞」「ホラーサスペンス大賞」「新潮ミステリー大賞」など、新潮社で数々の新人賞の選考に携わってきたベテラン編集長が考えるミステリの読み方・書き方の<お約束>とは――。電子書籍文芸誌「...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

editor_of_SS アップされてます。この回は、書きながら結構「気付き」のあった回です。/第12回「名探偵みなを集めて『さて』と言い(2)|新井久幸/新潮社yom yom編集部 @yomyomclub | 5ヶ月前 replyretweetfavorite

feilong “21489” https://t.co/S4nBobG2Gu 5ヶ月前 replyretweetfavorite