松井剛
店の中には非計画購買させるための工夫が充ち満ちている
「買うつもりがなかったものをお店で見つけて買ってしまう」というと、まずは衝動買いのことが思い浮かびますが、日々の行動をよく見直すと、他にも様々な「お店に入ってその場で決める」買い方をしていることに気づくはずです。それは、お店の側の「売るための工夫」を発見することにもつながっていきます。
「買い物リストを書いてもその買い物リストを忘れる人」で書いたように、私たちは、買い物をする時には、どれを買うか、どのブランドを買うかを事前に決めてからお店に入るとは限りません。お店に入ってから決めることは少なくないのです。こういった買い方を非計画購買と言います。今回は、この非計画購買について考えてみましょう。
今度、コンビニでお金を払うときに、レジの周りをよく見てみてください。みたらし団子などがレジ脇に置いてあることがあります。会計するときに団子が目に入ったら、「あ、美味しそう、買おう」と思う人がいるのです。これはまさに衝動買いを促す仕組みです。お店に行くまでは考えてもいなかったものを、その場で見ていいなと思って買うってこと、よくありますよね。
この衝動買いは非計画購買です。しかし衝動買いイコール非計画購買ではありません。衝動買いは、非計画購買の様々なパターンのうちの一種でしかないのです。
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この連載について
松井剛
何気なく使っているマーケティング用語。そのことばの裏には、あなたのビジネス、さらには世の中の見方を変える新たな視点が隠れています。一橋大学経営管理研究科・松井教授が、キーワードをゆったりと、しかし的確に解説するこの連載。他人の成功体験...もっと読む
著者プロフィール
一橋大学大学院商学研究科教授。1972年、北海道生まれ。2000年、一橋大学商学研究科博士後期課程修了、博士(商学)。2007年8月から2009年3月までプリンストン大学社会学部客員フェロー。学部生向けの「消費行動論」は、同大学の人気講義。共著に『1からの消費者行動』。訳書に『ソロモン消費者行動論』など。