爪切男がツチヤタカユキに教える、女を口説くテク

『死にたい夜に限って』を上梓した爪切男さんと、「死にたい夜を越えていく」と『笑いのカイブツ』で掲げたツチヤタカユキさんが、出会いました。後編は、爪さんが母親の不在から、その後、愛する女性によって生き延びてきたというお話。女性を口説く際のテクニックを爪さんがツチヤさんに伝授します。

「死にたい夜にかぎって」と名づけたら、原稿が変わった

爪切男(以下、爪) 僕の小説のタイトルは『死にたい夜にかぎって』ですけど、ツチヤさんの『笑いのカイブツ』にも「死にたい夜を越えていく」っていうタイトルの章がありますよね。

ツチヤタカユキ(以下、ツチヤ) そのタイトルは、最初、編集の方に「死にたい夜を越えていく」って、ネタバレと言うか予定調和になっちゃいません? って言われたんです。でも、それを越えるのは僕じゃなくて読んだ人たちであって、越えさせるという意味でつけたので変えられませんって、そういう内容の長文メールを送りましたね。

 そんな意味があったんですね。

ツチヤ 爪さんは『死にたい夜にかぎって』ってどういう意味でつけたんですか?

 これは編集の方につけてもらったんです。俺の原稿を読んで「このフレーズすごくいいと思うんだけど、どう?」って。でも俺自身は「死にたい夜」みたいなこと書いてたっけなぐらいで。

ツチヤ 自分では気付いてなかった。

 そう。それから『死にたい夜にかぎって』を頭の中に置いて書き直してみたらまったく別の作品になっていった。たぶん初稿の内容から7割は変わってると思います。

ツチヤ そんなにですか。

 書き直しも7、8回あったんじゃないかな。あと少しで印刷が始まるっていうギリギリまで赤字を入れてて。原稿が手元に無くてもう自分じゃ直せないってなったので、デザイナーさんに直してもらうっていう。それで印刷されてこうして本になってるんですけど、実はまだ一回も読んでないんですよ。

ツチヤ え。

 乱丁見つけたら、それは自分が悪いんだけど最後に直したのはデザイナーさんだし、誰にこの気持ちをぶつけたらいいんだろうって小さいこと考えちゃうので(笑)。
 この本はいろんな人に救われて完成したんです。直しをすればもっと良いものを書けるはずだと信じて、何回も直しを指示してくれた編集の方。本当は怒ってるだろうに「いいよ」って言ってギリギリの直しを了承してくれたデザイナーさん。最高の表紙を描いてくれたポテチ光秀さん。本当に感謝してます。

— 書いてる時に印象的だったこととかあります?

 本当に俺は描写表現が下手だなと、書きながら思いましたね。編集の方にも「小説なのに描写が全然ない」って言われて。

ツチヤ 内容がおもしろいから、別にいいんじゃないですかって僕は思っちゃいますけど。

 描写って照れるんですよね。「朝寝坊のカラスたちに祝福されて」とか書いてると身体中がかゆくなって(笑)。

ツチヤ 自分はちょっと恥ずかしいくらいがいいなって思います。僕もやってること全部が恥ずかしいことですから。ものすごくイタイし。

 何も知らない人からしたら確かにそうかもしれないですね。

ツチヤ 今の時代ってイタイことをしないように空気を読みすぎているんじゃないかと思います。だからそれに対するカウンターというか、あえてめっちゃイタイ奴になってやろうとか、イタイことしてやろうってなっちゃいます。

 今は監視の目がすごいですからね。ちょっとキツイこと言うと変な風に切り取られたりして、自分の意図とは違う風に広められちゃう。そんなやりにくい社会は個人的には嫌ですね。

爪切男が教える女の口説き方
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死にたい夜に会いましょう」ツチヤタカユキ×爪切男

爪切男 /ツチヤタカユキ

『死にたい夜に限って』を上梓した爪切男さんと、「死にたい夜を越えていく」と『笑いのカイブツ』で掲げたツチヤタカユキさんが、出会いました。笑いや女性に助けられた二人が、死にたい夜を生き延びることについて語ります。

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