ポリアモリー当事者によって書かれた本の話

複数の人と同時にそれぞれが合意の上で性愛関係を築くライフスタイル「ポリアモリー」。当事者であり、読書家でもあるきのコさんは、これまでたくさんの本を読んできました。今回は、きのコさんがポリアモリーについて考えるうえで影響を受けた本について綴っていただきました。


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こんにちは、きのコです。

最近、「ポリアモリーについて書いた本はありませんか?」という質問をよくいただきます。

もちろん拙著『わたし、恋人が2人います。 ~ポリアモリーという生き方~』を読んでいただいても嬉しいのですが、今回は、ポリアモリーについて考えるうえで私が影響を受けた書籍のいくつかを紹介したいと思います。

「自分の面倒は自分で見る」ということ

まずは、『恋愛のフツーがわかりません!! ゆらぎのセクシュアリティ考2』。

「セクマイ業界の『まったり脱力系』サークル、ROS」の本。LGBTの文脈とも絡めつつ、ポリアモリーについて当事者たちが語ったアンソロジー的な著作。ポリアモリーだけでなく、ジェンダーや結婚について、はたまたセックスやオナニーについて、カジュアルかつ真面目に書かれているところがとても好きです。

なかでも印象的だったのが、「ROSポリアモリー座談会」での会話。

「ハッピー・ポリライフに必要なものは何だろう?」
「自分の面倒は自分で見るってことだよね。」
「モノガミーだってそうだよなぁ。自立できない人同士がくっついて結婚したら、しんどさは二倍になる。」
(2008年、p.54)

ここで言われている「自分の面倒は自分で見る」とは、決して「恋人に頼らない」ということではないと思います。もたれかかり合って共倒れするのではなく、自立しながらも問題を抱え込まずに恋人と助けあえるような、そんな関係性のことではないでしょうか。

そしてそれはポリアモリーだけではなく、モノガミーなお付き合いのなかでも大切だということが、ここでは語られています。

トランスジェンダーやバイセクシャルなど、さまざまなセクシャリティの話が出てくるところも素晴らしいと感じています。

ポリアモリーはセクシャルマイノリティか否か?という議論はあるのですが、私自身はそこに答えを出す必要性は感じていません。それよりも、「人を好きになってお付き合いするうえで、従来の規範意識とのあいだに摩擦が起きている」という視点でもってポリアモリーやLGBTが直面する問題を捉えることが重要だと思うからです。

そういう意味でこの本は、セクシャリティも、ジェンダーも、セックスも含めて、さまざまな性や愛のトピックが分かりやすく語られた1冊だと思います。

ポリアモリーは「生き方」そのもの

次に取り上げるのは、『ポリアモリー The Third Summer of Love』。

著者は幌村菜生さん。人間関係に関する調査と研究ならびにコンサルティングをおこなっている、テトラヒドロン人間関係研究所の所長を務めている方です。

著書の内容は、小説か散文詩のような情熱とリズムに満ちた前半部分と、巻末付録のなかで相談と回答がQ&A形式で綴られた後半部分とに分かれています。

ポリアモリーは「新しい恋愛のかたち!」といった喧伝をされることも多いのですが、著者は、ポリアモリーとは恋愛のあり方に留まらない「生き方」そのものであると言います。

ポリアモリーというライフスタイルは、恋愛関係にとどまらず、どう生きるか、どういう態度で生きるか、何に価値を置いて生きるか、生きる意味(目的)をどう捉えるか、といったことに深く関わってくることは、言うまでもありません。
(2017年、p.46)

確かに私も、ポリアモリーを営むうえで、恋愛や性愛だけでなくもっと広範な価値観を見つめなおすような経験を何度もしてきました。

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わたし、恋人が2人います。

きのコ

「ポリアモリー」という言葉をご存じでしょうか? ポリアモリー(複数愛)とは、複数の人と同時に、それぞれが合意の上で性愛関係を築くライフスタイルのことをいいます。浮気でも不倫でも二股でもない「誠実で正直な複数恋愛」とはどのようなものなの...もっと読む

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