ウルトラマンが再びいなくなった後 ~ウルトラ・シリーズの再出発④~

2010年代に入ってウルトラシリーズ、仮面ライダー、ヤマト、ガンダム、あるいは「ベルばら」「ポーの一族」等が次々と40、50周年を迎えている。これらは単に昔のものとしてあるだけでなく現役のコンテンツとして新作が発表され、映像化、舞台化されている。逆算すれば分かるが、大半は1970年代に始まった。1960年に生まれ、アニメ、特撮ものを最初期からTVで見ていた中川右介(作家、編集者)が「リアルタイムの記憶を基にして目撃譚」として描くサブカル勃興史。

記憶を辿りながら書きますが公にするからには、記憶にだけ頼り、間違ったことを書いてはいかないので、改めて調べ事実確認をして書きます。歴史家的視点と当時の少年視聴者・読者としての記憶とを融合させ「読者・視聴者としてサブカル勃興期を体験した者が書く歴史」を提示したいと思います(筆者)。

●第二次怪獣ブーム

1971年4月スタートの『勝ってきたウルトラマン』の成功で、半年が過ぎた11月28日から、かつて『ウルトラマン』を放映していたTBS系列の日曜7時の「タケダアワー」枠では、『シルバー仮面』が放映された。タケダアワーは『柔道一直線』が当たり2年にわたって放映された後、71年4月から11月までは同じスポ根ものの『ガッツジュン』(原作・神保史郎、作画・小畑しゅんじ)が放映されていたが、再び特撮ものになったのだ。

しかし『シルバー仮面』は円谷プロダクション制作ではなく、同社を退社したスタッフを中心にして作られた「日本現代企画」の制作だった。特撮ものだが、ウルトラマンのように巨大ヒーローではなく、仮面ライダーのような等身大ヒーローだった。

だが『シルバー仮面』は視聴率がふるわず、第11回から『シルバー仮面ジャイアント』と巨大ヒーローものに転換、視聴率も上向いたが、翌72年5月で終了する。当初から半年26回の予定だったので、打ち切られたわけではないが、延長もされなかったのだ。

『シルバー仮面』が低視聴率だったのは、第2回が放映された12月5日から同時間帯にフジテレビ系列で、円谷プロダクション制作の『ミラーマン』が放映されていたからである。『帰ってきたウルトラマン』と『仮面ライダー』のヒットで、世に言う第二次怪獣ブームが起きていたのだ。

当時は家庭用VTRなどなかったから、日曜夜7時に『シルバー仮面』と『ミラーマン』のどちらを見るかは、小学生男子にとって最大の悩みとなった。僕も悩み、11月28日は当然、『シルバー仮面』の第1回を見たが、翌週12月5日は『ミラーマン』の第1回を見て、結局、巨大ヒーローものである『ミラーマン』を選択した。しかし、『ミラーマン』の主題歌を歌えるわけではないので、そんなに熱心ではなかったのだろう。

『シルバー仮面』は72年5月で終了したが、『ミラーマン』は11月まで1年にわたり放映された。『シルバー仮面』は初回と第2回を実相寺昭雄が監督したこともあり、その後、カルト的な人気を得る。

●ウルトラ兄弟への疑問

『帰ってきたウルトラマン』が1972年3月31日に高視聴率で終わると、翌週4月7日からは『ウルトラマンA(エース)』が始まった。何週間か前から予告されていたが、そのときは「ウルトラA」というタイトルだったのに、始まると「ウルトラマンA」になっていたので、混乱した。あとになって、玩具メーカーが「ウルトラエース」という商品を発売していたために変更したと分かる。

「ウルトラマンA」としたことで、以後のタイトルとヒーロー名を「ウルトラマン◯◯」とできるようになったので、怪我の功名と言える。さらに「マン」がつかないのは、「ウルトラセブン」だけになったので、「セブンは特別」という感じにもなり、『ウルトラセブン』が高い評価を得るのにも役立っている。

『ウルトラマンA』は、『帰ってきたウルトラマン』で描かれた世界をリセットし、まったく別の世界での物語となる。ウルトラマンAが戦う相手は怪獣ではなく「超獣」で、それを倒すための人間側の組織は、TAC(超獣攻撃隊)という。ウルトラマンAに変身するのは、当初は北斗星司と南夕子で、2人が合体して変身するというのが新しかった。しかし、南夕子は第28話で旅立ち、以後は北斗だけで変身する。

途中で設定が変わっていくのはウルトラ・シリーズに限らず連続ドラマの宿命である。

『ウルトラマンA』が放映されていたのは小学6年生の年だ。見ていたが、そんなには熱心ではなかったと思う。生意気な小6は「ウルトラマンなんて子供が見るものだ」と思っていたのだ。

それでも、『帰ってきたウルトラマン』で感じた、過去作品との矛盾がどうとかというのには、もはやこだわらず、「ウルトラ兄弟」の設定も受け入れ、「ウルトラの父」が登場すると、楽しんでいた。

第1回の視聴率は『帰ってきたウルトラマン』の勢いを引き継いで28.8%だったが、翌週は22.6%に下がり、以後は20%を割ってしまう。折返しにあたる10月6日の第27話「奇跡! ウルトラの父」は26.3%と上昇し、以後しばらくは20%台をキープするが、1973年になると、20%を回復できず、最終回も19.1%で、平均18.6%。

●ウルトラ・ファミリー誕生

それでもシリーズとして続くことになり、1973年4月からは『ウルトラマンT(タロウ)』が始まった。いままでのウルトラマンたちは5兄弟といいながらも、実際の兄弟ではなく、ウルトラの父も彼らの上司に過ぎないのだが、ウルトラマンタロウは、ウルトラの父とウルトラの母の実子という設定だった。

ウルトラの父も母も、ウルトラマンに似ているのに、タロウはウルトラセブンに似ていて、遺伝学的におかしいのだが、M78星雲の人々は地球人とは違うのだろうと、納得するしかない。

怪獣と戦う人間側は、ZAT(宇宙科学警備隊)となる。ウルトラマン側はどうやらひとつの世界観にあるようだが、地球側の世界観は、またもリセットされたのだ。

僕はすでに中学生となっているので、そういう設定にも、「なるほど、そうきたか」と思うだけで、衝撃も感動もなく、むしろ、いろいろ考えるもんだと感心していた。冷淡ではあったが、それでも『ウルトラマンT』も主題歌は歌えるので、毎回見ていたのだろう。

下の世代は、地球側の設定がリセットされるのにウルトラマンたちは共通であることを、どう受け止め、解釈していたのだろう。あまり深く考えずに、今度はタロウだ、ZATだと楽しんでいたのだろうか。案外とそんなものなのかもしれない。

『ウルトラマンT』第1回の視聴率は21.7%だった。前作『ウルトラマンA』が低調だったので、それを引き継いでしまい、最終回も18.0%、平均で17.0%に終わった。15%以上だったためかシリーズは続き、1974年4月からは『ウルトラマンレオ』が始まった。『帰ってきたウルトラマン』から数えれば4作目だ。

第1回は、ウルトラセブンがマグマ星人が操る双子の怪獣レッドギラスとブラックギラスと太平洋上の島で戦っているシーンで始まる。いつの間にか、ウルトラセブンは地球に戻っていたのだ。しかし二頭は強敵で、なかなか倒せない。そこに別のヒーローが登場してセブンを助ける。それがウルトラマンレオだった。

怪獣との戦闘の後、セブンはモロボシ・ダンになっている。しかし、制服はウルトラ警備隊のものではなく、MAC(宇宙パトロール隊)のものだ。ダンはMACの隊長という設定だ。見ていて、ウルトラセブンがモロボシ・ダンという設定であるなら、ウルトラ警備隊を出すべきではないのか、アンヌ隊員はどうなったんだと思ったものだ。レオは他のウルトラ兄弟とは異なり、獅子座のL77星から来たという設定になっている。だからウルトラマンともウルトラセブンとも似ていない。

1年間続いたが、製作費削減のためか、第40回でMACは全滅してしまい、モロボシ・ダン以下のメンバーは出なくなった。視聴率は第1回が17.6%で、これが最高だった。夏休みになる頃には10%を割ってしまい、最終回は8.3%。平均がかろうじて10.3%。当然、シリーズ継続は無理で、『帰ってきたウルトラマン』に始まった第二期ウルトラマン・シリーズは1975年3月をもって終わった。

この後、金曜7時はアニメ『勇者ライディーン』が始まるが、75年4月にネットの系列の変更があり、東京ではTBSの後番組としては『ちびっこアベック歌合戦』が始まり、『勇者ライディーン』は東京ではNETが放映した。

一方、『帰ってきたウルトラマン』と同時に1971年4月に始まった『仮面ライダー』はというと、73年2月まで約2年にわたり続いた後も途切れることなく、『仮面ライダーV3』(73年2月~74年2月)、『仮面ライダーX』(74年2月~10月)、『仮面ライダーアマゾン』(74年10月~75年3月)と続き、ウルトラマンが終わった後も、『仮面ライダーストロンガー』(75年4月~12月)が続いたが、こちらもここでいったん終わる。

●不滅の円谷英二神話

『ウルトラマンレオ』が放映された1974年4月から75年3月は、僕にとって中学2年にあたり、見ない回も多かったのか、あるいは見ていたけれど熱心でなく忘れているのか、『レオ』についてはほとんど記憶にない。主題歌も歌えないし、いま聞いてもすぐには分からないだろう。

教室でも、再放送されていた『ウルトラセブン』のほうが話題になっていたように記憶している。生意気な中学生には、最初の『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』のほうに人気があったのだ。はやくも、「昔はよかった」「近頃のウルトラマンはつまらない」と嘆く年頃になっていた。

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NakagawaYusuke 連載|すべては1970年代にはじまった ウルトラシリーズは今回が最終回。 金曜日に、仮面ライダー編スタートします。 https://t.co/LVKrcfgGvP 3ヶ月前 replyretweetfavorite