味噌汁はおいしさが約束されたスープ
味噌汁の最大のポイントは「味噌」にあります。世界のさまざまなスープの中で、日本の味噌汁ほど誰もが簡単においしく作れるスープはありません。それはひとえに、調味料である味噌のおかげです。
豆、麹、塩を混ぜて発酵させて作る味噌はうま味が強く、じつは味噌を湯に溶くだけでも、ちょっとしたスープになるのです。具やだしにそれほど凝らなくても、おいしさが約束されたスープといえるでしょう。
しかも、味噌汁には、合わない具材がほとんどありません。豆腐やねぎ、わかめ、大根、 油揚げ、しじみなど定番の具をはじめ、もやし、いも、キャベツ、なす、思いつく野菜はほとんど味噌汁の具になります。アスパラ、ブロッコリー、トマトなど意外な野菜、チーズやバター、唐辛子やキムチなど、本当に味噌汁に入れて大丈夫かと思うような食材まで、具として受け入れてくれる懐の深さがあるのです。
これも、味噌という調味料の偉大さによるもの。大豆たんぱくの働きによって素材の持つクセや臭みをおさえながら、発酵食品ならではの強いうま味を加えます。魚の生臭さや山菜のえぐみも、味噌汁だと気にならないのが不思議です。
そんな味噌汁を食事のメインディッシュとしてとらえると、食事はとても豊かになりま す。野菜たっぷりの煮物を作る感覚で、根菜やきのこ、いも類などを加え、ボリュームアップしましょう。肉を使った豚汁スタイル、魚を使ったあら汁スタイルなら、さらに満足度は上がります。肉または魚介と野菜を組み合わせた味噌汁にごはんを添えれば、栄養的にはほぼ完璧です。
たくさん食材をそろえるのはたいへんだ、という場合は、単品の野菜をどっさり入れる、 という発想があります。キャベツ1/4個ぐらいの量の野菜は、味噌汁であれば2人でかんたんに食べ切れるはずで、これはこれで贅沢ではないでしょうか。野菜のおいしさを堪能でき、旬の野菜の食べ方としておすすめの方法です。