一見すると快適そうな水辺だけど、実は危険な生き物たちが
ぼくの住む関東地方は、今まさに梅雨の真っ最中。連日雨が降り、湿度と気温は右肩上がり、そしてそれに伴って「招かれざる奴ら」が動き出す気配を感じています。
野食に限らず「アウトドア全般」に共通するリスクとして「吸血生物による被害」を挙げないわけにはいきません。
体毛が少なく肌の露出が多いヒトは、どんな吸血生物にとっても格好のターゲット。虫除けや蚊取り線香など、さまざまな手段で予防を心がけますが、いつもうまくいくわけではありません。彼らとの戦いを制することが、夏~秋にかけての野食活動におけるカギだといっても過言ではないでしょう。
見てるだけでかゆくなる……
さて、一般的に吸血生物と言えば、やはりカやアブ・ブユといった「吸血昆虫」がメジャーだと思いますが、野山に混じりてキノコ・山菜を採る野食においては、それ以外のマイナーな生き物との戦いを強いられる場面が存在します。
その中で、もっとも強烈な存在といえるのが、ヤマビルでしょう。
不快さマックス?の吸血生物・ヤマビル
彼らとはじめて出会ったのは、「マメダンゴ」という食用キノコを採りに行ったときのことでした。
トリュフと見た目も生態もよく似たマメダンゴ
マメダンゴは「ツチグリ」というキノコの幼菌(胞子が成熟していない若いキノコ)で、梅雨時がシーズン。
ツチグリ自体は非常にありふれたキノコで、都心の公園などでも普通にみられるものなのですが、マメダンゴはマイナーで希少価値の高いキノコとして珍重されます。それは「地中に産出する」という特徴があるため。
成熟に従って地上に顔を出すのですが、そうなると非常に埃臭くなってしまい食べることができなくなります。
成菌(胞子を散布できる状態)のツチグリ
マメダンゴを見つけるには、前年に発生したツチグリの残骸を発見し、その周囲を辛抱強くほじくり返していく必要があります。やみくもに掘っても見つけることができず、また環境破壊にもつながるため、小さな移植ゴテでちょっとずつちょっとずつ丹念に掘り進めていかなければいけません。
そうやって地面に全神経を集中させているときに、彼らはそっと足元に近寄り、そしてぼくの靴に取り付いてきたのです。
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