出禁は、あくまで最終手段です。僕だって積極的にそうしたいわけではありませんが、キャストとほかのお客様に迷惑がかかる場合はやむをえません。
同じ理由でキャストを解雇することもあります。オープンから2カ月を待たずしてこんなことが起こるだなんて。僕はなかば呆然としていました。
が、早いうちにこうしたことを体験してよかったのかもしれません。ここからほぼ毎週のように何らかの事件やトラブルが起きるようになるからです。男性向け風俗店でもしょっちゅう起きているようなものもあれば、レズ風俗ならではのものもあります。
僕は「しんどいわぁ」といいながらも、どこか楽しんでいるところもありました。ときに泥臭い人間模様を織りなすのも、“レズ風俗店”の一面だと思っているからです。
出禁の対象になるのはひと言でいうなら、上手に夢を見られなくなった女性です。
レズ風俗は、ほんのひと時のあいだ楽しんでもらうためのサービスを提供する性風俗店です。というとドライだと思われるかもしれませんが、限られた時間内でできるだけたくさんの夢を見てもらえるようキャストは精いっぱい努めます。
お客様にはお客様の生活があってそれを守りながらお店をご利用いただいているのと同じく、キャストもウチで働いている以外の時間にはそれぞれの生活があります。そこを尊重していただけない方は、お店のご利用はむずかしいと判断します。僕らが戸惑うのは、ずっと尊重してくれていたはずなのに、気づけばそれができなくなってしまったお客様。
ストーカー客から、キャストを守れなかった過去
その動機は、お客様にとっては“恋”なのでしょう。キャストに本気になってしまった。だから公私ともに自分のものにしたくなった……。
あるキャストは、こんなことに巻き込まれました長距離出張コースとしてお客様とふたりで旅行にいったとき、その女性は自分の電話番号を記したメモ用紙を無理やりキャストに押し付けようとしました。 個人間で連絡先を交換するのは、お店のルールで厳禁しています。でも、いくら禁止してもいるんですよね。性風俗店でのサービスを“出会い”と勘違いして、個人的に会おうとする人たちが。お客様側にもキャスト側にもいて、何度困らせられたことか。
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