読みたい人、書きたい人のミステリ超入門

第11回 「名探偵みなを集めて『さて』と言い(1)」

最初はある程度、物語の設計図を作ってから書くことをお薦めしたい。プロット、というよりは、伏線と回収の呼応表みたいなものでいい。
電子書籍文芸誌「yom yom」に掲載中の人気連載を出張公開。

 謎を設定し、緻密かつ丁寧に伏線を張ったら、後は仕上げをご覧じろ、ということで、いよいよ解決編に突入する。当然だが、どれだけ謎が魅力的でも、伏線が美しくても、解決が非論理的であったり、理不尽であったりすれば、作品の印象は悪くなる。
 逆に、終わり良ければ全て良し、という言葉通り、エレガントな決着を見せてくれた作品に対しては、読者の印象は良くなるものだ。
 そして、言うまでもなく、解決編はそれだけで成り立っているのではない。謎も、伏線も、「どう解決するのか」を常に念頭に置いて作る必要がある。そうでないと、張りっぱなしの伏線や、伏線のように読めるけれど結局意味の分からない「何か」が生じて、「何だったんだろう?」と、宙ぶらりんな印象を残すことになる。伏線はなかなか覚えていてもらえない、と以前書いたが、こういうところに限って記憶に残っていたりするから厄介だ。
 回収されない伏線──回収されない以上、伏線ではないのだが──があるのは、とても気持ちが悪いから、基本的には全力で避ける必要がある。ただし、

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新潮社
2018-05-18

この連載について

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読みたい人、書きたい人のミステリ超入門

新潮社yom yom編集部 /新井久幸

ミステリ作家志望者、必読! 「新潮ミステリー倶楽部賞」「ホラーサスペンス大賞」「新潮ミステリー大賞」など、新潮社で数々の新人賞の選考に携わってきたベテラン編集長が考えるミステリの読み方・書き方の<お約束>とは――。電子書籍文芸誌「...もっと読む

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editor_of_SS 第11回、アップされました。今回と次回は「解決」について/「名探偵みなを集めて『さて』と言い(1)」|新井久幸/新潮社yom yom編集部 @yomyomclub | 約1年前 replyretweetfavorite

yomyomclub 昨日公開するはずが……。お待たせしてしまい誠に申し訳ありません。→「名探偵みなを集めて『さて』と言い(1)」|新井久幸/新潮社yom yom編集部 @yomyomclub | 約1年前 replyretweetfavorite