謎を設定し、緻密かつ丁寧に伏線を張ったら、後は仕上げをご覧じろ、ということで、いよいよ解決編に突入する。当然だが、どれだけ謎が魅力的でも、伏線が美しくても、解決が非論理的であったり、理不尽であったりすれば、作品の印象は悪くなる。
逆に、終わり良ければ全て良し、という言葉通り、エレガントな決着を見せてくれた作品に対しては、読者の印象は良くなるものだ。
そして、言うまでもなく、解決編はそれだけで成り立っているのではない。謎も、伏線も、「どう解決するのか」を常に念頭に置いて作る必要がある。そうでないと、張りっぱなしの伏線や、伏線のように読めるけれど結局意味の分からない「何か」が生じて、「何だったんだろう?」と、宙ぶらりんな印象を残すことになる。伏線はなかなか覚えていてもらえない、と以前書いたが、こういうところに限って記憶に残っていたりするから厄介だ。
回収されない伏線──回収されない以上、伏線ではないのだが──があるのは、とても気持ちが悪いから、基本的には全力で避ける必要がある。ただし、
第11回 「名探偵みなを集めて『さて』と言い(1)」
2018年6月22日
最初はある程度、物語の設計図を作ってから書くことをお薦めしたい。プロット、というよりは、伏線と回収の呼応表みたいなものでいい。
電子書籍文芸誌「yom yom」に掲載中の人気連載を出張公開。
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読みたい人、書きたい人のミステリ超入門
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