若い人こそ「長期投資」を始めよう
入社1年目で本書を手に取った人は、本当にラッキーです。
なぜなら、若い頃から投資を始めて長期間資産運用したほうが圧倒的に有利で、結果的に増やすことができる資産も大きくなるからです。
20代のうちから長期投資を始めるメリットのひとつは、長期のスパンで資産形成ができるので、無理なくお金を増やすことができるということです。
たとえば、現在45歳の人が、65歳の時点で老後資金の一部として2000万円貯めたいと考えたとします。
20年で2000万円を貯めようと思えば、1年で100万円ずつ積み立てなければなりません(投資による増減がプラスマイナス0の場合)。月々の投資額も8万円以上が必要です。
収入が上がっているとはいえ、月に8万円を捻出するのは簡単ではありません。
一方、22歳の人が同じく65歳の時点で2000万円を貯めようと思えば、1年で約47万円ずつ増やしていく計算になります。
月々3万 9 0 0 0 円ですみますから、45歳の人の半額程度の投資ですみます。もちろん、投資によって増やすことができれば、もっと早く2000万円の目標額を達成することができます。
当たり前ですが、人生を逆算して考えれば、できるだけ早く投資を始めたほうが有利なのです。
「複利効果」で数千万円の差に!
さらに、20代のうちから長期投資を始める人は「複利効果」を最大限享受できるというメリットもあります。
銀行にお金を預けていると、定期的に金利がついて利息がもらえます。
その金利には、「単利」と「複利」という2つの種類があります。
単利とは、元金に対してだけ発生する利息のこと。
たとえば、100万円を3年間銀行に預けたとします。金利は計算がしやすいように5%とします。5%ということは、1年間で5万円を受け取ることができます。
同じ条件で3年間預けておけば、計15万円(5万円×3年)の利息が発生します。
一方、「複利」とは、元金によって生じた利子を次期の元金に組み入れることを言 います。つまり、元金だけでなく利息にも次期の利息がつく、ということになります。
100万円の例でいうと、1年後に預金残高が105万円になるのは単利と同じですが、複利は105万円に5%の利息がつくので、2年後には110万 2500円になり、さらにこの残高に5%の利息がつくと、3年後には 115万7625円になります。
雪が降った日に雪だるまをつくると、最初は小さかった雪玉も、大きくになるにしがたって、1回転するだけでたくさんの雪が付着していきます。
「雪だるま式に膨れ上がる」とよく言いますが、複利はまさに雪だるま式にお金が増えていくイメージです。
複利であるかどうかで、資産運用の結果は大きく変わってくるのです。
たとえば、あなたが毎月5万円ずつ貯金をしたとします。期間が20年だとすれば、金額は1200万円(5万円×12ヵ月×20年)です。
このとき、年平均7%の利回りで運用したらどうなるでしょうか。詳しい計算式は省略しますが、複利式だと、20年後には約2600万円になります。
さらに、積立期間が30年だった場合は、どうでしょうか。単純に貯金をすれば1800万円(5万円×12ヵ月×30年)です。
ところが、年平均7%で30年運用すれば、約6000万円の資産額になります。
びっくりですよね。積み立てた金額は1200万円と1800万円とで600万円
しか違わないのに、複利効果によって3400万円もの差が開いてしまうのです。
なお、複利効果には、「72の法則」と呼ばれる便利な計算方法があります。
「年利×年数=72」という方程式で、元金が2倍になる年数を計算できます。
たとえば、年利6%で複利運用すると、元金が2倍になるまでに要する年数は「72÷6」で、12年です。
「72の法則」を覚えておくと、資産運用でどのくらいの期間で目標金額を貯められるかざっくりと計算することができます。
複利効果を最大限に得るためにも、投資を始めるなら早いほうが有利であることは間違いありません。そういう意味でも、入社1年目から投資に目を向けることは、大きなメリットがあるのです。