自分らしく生きるための”当たり前の方法”
『専業主婦は2億円損をする』
日本のシングルマザーの状況がひどい
日本では、18歳未満の子どものいる一般世帯の平均年収は673万円なのに、母子家庭の総所得は児童扶養手当などを入れても243万円と3分の1程度しかありません。
一人あたりの平均所得の半分に満たない額が「貧困線」で、日本では122万円になります。貧困線以下の世帯の割合を国際比較すると、日本のひとり親世帯の相対貧困率は54・6%と先進国のなかで群を抜いて高くなっています(2012年)。さらには、経済的にきびしい家庭で育つ17歳以下の子どもの割合を示す「子ども貧困率」は13・9%で、子どもの7人に1人が貧困に陥っています(2016年)。
日本の母子家庭のもうひとつの特徴は、就労率がきわめて高いことです。
ひとり親世帯(父子家庭も含まれますが、大半は母子家庭)の就労率は日本が85・4%で、女性がはたらくのが当たり前のデンマークやスウェーデンより高く、先進国で最高です(アメリカやドイツは70%弱、イギリスは50%)。
北欧の国はジェンダーギャップ指数が日本と比べものにならないほど高く、「女性が活躍できる国」です。イギリスのジェンダーギャップ指数は20位ですが、母子家庭の半分しか就業していません。
111位という「世界最悪の男女格差社会」に暮らす日本のシングルマザーは、先進国の母親と比べてずっと不利な状況に置かれながらも、それでもはたらいています。そして彼女たちは、先進国では(相対的貧困率で)もっとも貧しいのです。
なぜこんな理不尽なことになるのでしょうか。
日本の会社は子育て中のシングルマザーを正社員として採用しませんから、パートや非正規といった条件の悪い仕事に就くしかありません。「だったら生活保護を受ければいいじゃないか」と思うでしょうが、日本は生活保護の利用率が人口比で1・6%ときわだって低い国でもあります。
ドイツやイギリスの生活保護利用率は約10%、スウェーデンでも4・5%ですから、こうした国では(いいか悪いかは別にして)生活保護で暮らすのは特別なことではありません。
ところが日本では、「あそこは生活保護だ」という噂がたつと子どもがいじめられるので、たとえ生活保護の受給資格があってもシングルマザーははたらこうとします。これが、高い就業率と低い収入の理由になっています。
結婚の失敗は交通事故のようなもの
母子家庭になるのは離婚したからで、貧困に陥るのは別れた夫(父親)が養育費を払わないからです。責任は男にありますが、なぜか日本では、養育費の不払いはほとんど問題にならず(収入がないのだからしかたがない、と思われている)、母子家庭の生活保護不正受給だけがバッシングされます。
こうした日本社会の現状を見れば、賢い女子が出す結論はひとつです。
「結婚して子どもを産むと、なにひとついいことがない」
少子化で大騒ぎしている日本社会は、若い女性に対して「子どもを産むな」という強烈なメッセージを送っているのです。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。
人気の連載