庭の魔力

『山の上のパン屋に人が集まるわけ』の公開以来、独自の経営スタイルや働き方で注目を集める平田はる香さん。長野に移住してマイホームを建てた後、庭づくりを開始。でも自らの手で苦労して植えた庭木がうまく育たず瀕死状態に。そんなふうに困ったことがある時、平田さんが必ず頼るというのが、本。「本はいつも窮地を救ってくれるかけがえのない友人です」と語ります。


春一番、庭の片隅でスノードロップが顔を出す。

高い勉強代

春になっても一向に芽吹かない私の庭木。段々と不安になり木を購入した植木屋に相談に行く。事情を説明すると、穴の掘り方が浅くロープのかけ方が甘かったため、木が固定されず根付かなかった可能性が高いことがわかった。また、バーク堆肥の入れ方も少なすぎて、土壌改良がうまくいかなかったことも根張りがしない一つの理由でもあった。コンクリートのように硬い粘土質の土に阻まれて、根は歯が立たなかったらしい。

素人仕事で、お金をつぎ込んだ木々の半分以上がたった半年で死に絶えた。また御牧原の風が想像以上に強かったのも原因で、木が左右に揺られ根も固定できなかったようだ。乾燥への適応力が低い木は全て瀕死状態になった。アドバイスを受けた後に、枯枝を打ち周辺を掘り起こしバークを入れ、固定もやり直したが残った木々も辛そうだった。

結局、植木屋さんに泣きついて庭まで来てもらい木々を見てもらった。このまま置いておくとダメそうなものは、環境のよいところに植え直せば回復するよと教えてもらい、思案した末に、庭好きのスタッフの家にお嫁に行くことになった。兎に角どこかで生き延びて欲しい。自分の庭にいれば不幸になるなら新天地で生き延びて欲しいという親心であった。あれから6年ほど経った現在、とても元気に育って大きくなっているらしい。時々、木に会いに遊びに行くと、すごく生き生きとしている様子が見ることができて嬉しくなる。あの時、移植して本当によかったと思う。

懲りない人


夜、とりあえず本棚から興味のある本を全部出してきて積んで片端から読んでいく

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わざわざ平田の思索日記

平田はる香

長野県東御市にある「パンと日用品の店 わざわざ」。山の上の長閑なこの場所に、平田はる香さんは2009年にひとりでお店を開きました。平田さんがnoteで公開した記事「山の上のパン屋に人が集まるわけ」が大いに反響を呼び、独自の経営スタイル...もっと読む

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コメント

taroshin999 困った時はいつだって本を開くってとこ、いいですね。 思えば、人に相談して解決したことはほとんどない気がする笑。 本は、良き相談者であり、思考の原材料であり、インテリアにもなる。 @wazawazapan | 2年以上前 replyretweetfavorite

wazawazapan cakes連載5回目〉庭に取り憑かれた偉人の話を書きました。モネ、ヘッセ、デレク・ジャーマン、庭に傾倒する人はとても多いです。ぜひご覧にください! 2年以上前 replyretweetfavorite

ryoma369 平田さんの文章に引き込まれて読んでしまうんだよなぁ。 2年以上前 replyretweetfavorite