■技術23 「表情」を読む
活字メディアにはない強み
こちらの質問によっては、ゲストが言葉を詰まらせたり、あえて答えないということもあります。
言葉が出てこないときには「表情」を撮ります。苦しい釈明、明らかに話をすり替えようとしているときの表情は見ていて、分かります。それをテレビは視聴者に見せることができるのです。
前に話に出した、民進党の離党しない人たちに対しては、「離党しません」と言うところを三回聞いて、表情の変化を放送しました。それを、自信を持って発言しているのか、虚勢を張っているのかは、視聴者の判断に委ねます。
活字メディアですと、「〇〇議員は『離党はしません』と発言しました」という事実のみを伝達しますが、テレビの場合は発言したときの表情をとらえることができます。それを見せることができるのがテレビの一つの強みだと思います。
それにはカメラワークも重要です。ディレクターやカメラマンのセンスにもよりますが、一般的にはぐっと寄ったほうが表情は分かりやすい。しかし、手先の動きや姿勢に感情が表れる場合もあります。
普段はしっかり人の目を見ながら話す人の「目が泳いだ」場合などはテレビを見ていてもわかると思います。ただ、日頃から私の目を見ずに話す人もいます。その場合はこの分析は当たりません。別の物差しで測ります。誰とは申し上げませんが。
■技術24 いきなり「本題」に入る
打ち合わせのときも「雑談」はあとで
何度もご出演くださった方のほうが話しやすいことは確かですが、初対面の人に対して話し方や聞き方を変えるということはありません。なぜなら番組にお迎えして、僕たちはこういうことを聞きたい、こういうことを話していただきたいという明確な目的があるからです。
事前取材でも、僕は雑談などしないで、いきなり本題に入るほうです。忙しい人が多いですから、取材の時間が三十分くらいしかないときもあって、余計な話をしている時間がないせいでもあります。
たとえばご自宅での取材になって、その家が素晴らしくて、インテリアのセンスがよくて、いい絵が飾ってあったとしても、そうしたものを褒めて相手の気持ちをなごませるというようなことはしません。ビジネスライクすぎると言われればそれまでですが、やはり番組のための事前取材ですから、重要なことをまず伺います。これは僕に限らず、スタッフ全員がそうだと思います。
本題が終わって、車を待つ間など時間があったら、そうした話をすることはもちろんあります。「取材のお時間はいつもこれくらいなのですか」ですとか、「ゴルフクラブがありますけど、お好きなんですか」とか、「立派な胡蝶蘭ですね」ですとか。そして、「今日はありがとうございました」とお暇をさせていただきます。
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