「そうです。その心配についても、内山さんはあらかじめ対応してくれました。実際にバリューマックス社さんの〈会計の達人〉を活用して、大きな成果を上げているユーザーの見学会をセッティングしてくれたんです。バリューマックス社さんのユーザーはみなバリューマックス社さんに協力的でした。顧客満足が高くて信頼されているんでしょうね。『これだったら、帝国建設でもコストを削減できるし、業務の正確さやスピードを上げることもできる』と私たちも確信できました」
大野部長は、思い出すような様子で話を続けた。
「内山さんのおかげで、私たちはとても多くのことを学ばせていただきました。私たちが想定したよりもはるかに大きな効果が、バリューマックス社さんの提案で実現できることも、よくわかりました。内山さんは、バリューマックス社の〈会計の達人〉のデメリットも包み隠さず話してくれるので、ウチの連中はみな信頼しています」
まだ諦めきれない久美は、出されたお茶にはじめて口をつけてひと息つくと、質問した。
「でも、価格はバリューマックス社さんが一番高かったのですよね。御社の予算をオーバーしていたと伺っています。その点は問題にならなかったのですか?」
「あ、価格ですか? 内山さんは『この価格を受け入れていただけないのであれば、ウチは降ります』って強気なんですよね。〈会計の達人〉が各社の提案の中で一番高かったのは事実です。でも、ほとんど問題にならなかったですね。だって、帝国建設の全体のコストを大幅に削減できる提案をしてくれたんですよ。それに比べると一番高いバリューマックス社さんの〈会計の達人〉と、一番安い駒沢商会さんの〈現場の会計〉の価格差なんて、ゴミみたいなものです。私の予算決裁権の中で何とかなりました」