顧客満足が大事、とよく言われます。満足するからお金を払ってくれるわけですし、満足したから、再びお金を払ってくれるわけです。では、どれだけ満足してくれるのか、ということは、どのようにして決まるのでしょうか?
大学の講義で考えてみましょう。新学期になると学生は、どの授業をとるのか考えます。良い評判を聞きつけると、面白いらしいからこの先生の授業を取ろうという学生が増えます。しかし、実際に授業を受けてみると、それほど面白くないな、と思う学生が少なくありません。これはなぜかというと、評判が良いから面白いに違いない、と事前期待が高まっているので、その期待を上回ることが難しくなったからです。今日のキーワードは事前期待です。
4月になるとぼくのゼミには新3年生が入ります。そこで4年生を3年生に紹介するのですが、そんなときによく言うのは、「●●くんはいつも面白いことを言うよ」と言ってみたりします。そうするとその学生は「やめてくださいよ〜、ハードル上げないで!」と言うわけです。これって評判の良い授業があまり面白くないという上の話とロジックは同じです。
この人はこれから面白い話をするだろうという期待をあらかじめ持たせてしまうと、面白がらせるのが難しくなってしまうという、ある種の矛盾が起きてしまうのです。
こういったことを踏まえて授業ではよく学生には、「事前期待が高すぎてもダメだし、低すぎてもダメ。なんで?」と質問します。なぜでしょうか?
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