老後のバカ格差

バブル時代の日本では「日本人は平等」と信じられていました。ところが90年代を境に日本にも様々な格差が存在することが目に見えるようになりました。国際経験豊富な元国連専門期間職員の @May_Roma (めいろま)さんは、新作書籍「バカ格差」で日本人を苦しめる格差について分析します。

若い人はあまり実感していないかもしれませんが、今の日本では、全ての老人が豊かなわけではありません。

マスコミでは老人の多くが高い年金や資産を持っていて余裕のある生活を送っているというイメージは報道されていますが実態は違います。

例えば厚生労働省が発表した2017度のモデル年金額をみてみましょう。

日本の年金というのは

(1)大人全員が加入している国民年金(基礎年金)

(2)会社員などが加入している厚生年金

(3)確定拠出年金や厚生年金基金、年金払い退職給付

の3つからなりなっています。

普通のサラリーマンの場合は、(1)と(2)をあわせた金額をもらうことが多いのです。

(1)の国民年金は、20歳から60歳まで40年間保険料を支払った人で、1人1カ月6万4941円です。(2)の厚生年金の平均的支給額は、男性は16万6120円、女性は女子は10万2131円です。

つまりサラリーマン男性だと月23万円ほど、女性だと17万円ほどもらえる計算になります。

ただし妻もずっとフルタイムで就労し、厚生年金を払っていたという例はあまり多くはありませんから、妻のもらえる年金はぐっと安くなります。

ずっと専業主婦だった人や、その後パートで厚生年金未加入だった人は、厚生年金のみで月の支給額は6万円ほどという人もいるでしょう。

厚生省は、夫婦二人が受給する年金のモデルを発表していますが、国民年金と厚生年金合わせて月に22万1277円です。

これは、夫がボーナスを含む月収42.8万円で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であったと仮定しています。

月収42.8万円だとだいたい年収500万円ぐらいですが、あくまでモデルであり、日本の40歳から59歳までの働く人の中間値程度です。

若いうちは年収はもっと安いですし、中卒、高卒だと報酬はもっと低くなりますので、将来もらえる年金はもっと安くなるでしょう。

つまり、このモデル年金を貰える人というのは、元公務員だったり一部上場の大企業に勤め多額の厚生年金を払ってきた人に限られます。

日本の企業のうち99.7%は中小企業で、働く人のうちざっと70%が中小企業勤務で、大企業勤務者は30%ほどです。大多数の働く人は、公務員でもなく大企業の社員でもありません。

大企業と中小企業の報酬の格差は大きく、例えば従業員5人以下の小企業の平均年収は337.1万円で、従業員5000人以上だと503.3万円です。大企業の賃金は中小企業の約1.5倍です。

つまり例えば大企業勤務で40年間働いた人が国民年金月6万円と厚生年金月16万円を合わせて月に23万円受給するところ、中小企業の人だと厚生年金の分が10万円程度になりますから、受け取れる金額はざっと月に16万円ほどになります。奥さんが専業主婦で国民年金のみだと夫婦合わせて22−23万円ほどでしょう。

住宅ローンや家賃はないとしても、住宅修繕や医療費用の貯蓄がないとかなり厳しいことになります。

つまり、7割の人が中小企業勤務だと考えれば、厚生労働省が発表するようなモデル年金をもらえる人は大多数ではなく少数派なのですが、それを実感している人は多くはありません。


ケイクス

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May_Roma

海外居住経験、職業経験をもとに、舌鋒鋭いツイートを飛ばしまくっているネット界のご意見番・May_Romaさん。ときに厳しい言葉遣いになりながらも彼女が語るのは、狭い日本にとじこもっているひとびとに対する応援エールばかり。日本でしか生き...もっと読む

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コメント

happychild1412 #スマートニュース 3日前 replyretweetfavorite

tmpolo 設定モデルを吟味しないと。統計の平均値比較も多々問題あり。→ #スマートニュース 4日前 replyretweetfavorite

Yukiyo 先日interopの基調講演を聞いてきたんだけど、政治家はやっぱり70歳以上でも年金を支給しない制度を考えてるみたい。 5日前 replyretweetfavorite

gatewayiori #スマートニュース 6日前 replyretweetfavorite