同窓会、それは人生の発表会。
中学3年生の時に初めて見て憧れた「ルミネtheよしもと」よりも、「R−1ぐらんぷり」よりも大舞台だと思っているのが、地元の同窓会です。
なぜか。それは、市役所に勤め、墓守をすることがなによりの親孝行になると信じて生きてきたから。18歳で芸人になると決めて上京してからがむしゃらに頑張って、ずっと出演したかったテレビに出たとき、地元の友達に言われた言葉は
「いつまで遊んでるの?」
でした。
悔しい思いをしているのは、なにも動かない自分のせい
芸人として生きていくためにバイトを20個ほどやって、必死に東京で頑張ったところで、結局遊んでいるようにしか見えていない。まっとうな人生を送っていないように思われている。
だけどプライドの塊だった私は、地元に帰るたびに洋服を新調し、まだ月に2万円しかお給料がもらえなかった時代に「40万円もらっている」という嘘を自分自身に用意して、新潟へ向かう新幹線に乗っていました(おっと、ここでも見栄を張ってしまいました。帰省は大体高速バスでした……)。
同窓会で会う同い年の友人は、「仕事でチーフになった」「副店長になった」と、年齢を重ねるごとに肩書きが立派になっていくのに、なにもない自分が悔しくて仕方がなかった。同じ年に生まれたはずなのに、同じレベルに立てていない自分が嫌いだったんです。
同級生が結婚しはじめ、生命保険の話題が女子会で出るようになったタイミングで、私は結婚する相手もいないのに生命保険に入りました。そんなことですら負けず嫌いを発揮して、同級生と比べてしまうその心の狭さにも腹が立ちました。Facebookが自慢ブックだと気が付いた時には、前歯で噛んだ唇に血が滲んでいました。
でもあるとき気がついたんです。こんな悔しい思いをしているのは、なにも動かない自分のせいだと。いつまでも、東京という夢を追わせてくれる悪魔の街に身を委ね切ってしまったからだと。
人生の逆算を趣味にしなさい
誰もいない家に帰って「いい男いないわ~」と言っているこんな生活じゃダメだ。 婚活をしよう。私はそう決意しました。そして、そんな私に救世主とも呼べるお姉さんが現れてこう言いました。
「なっちゃんは可愛くないんだから若さを売りにしなさい。 5年経つと男性からの誘いは半分になっていくのよ。さらに5年が経てばまた半分。 今年私を誘ってくれた男性は、ついに1人を切って0.25人になったわ」。
私はその言葉に恐れおののき、婚活パーティに出向きました。 そして、数年が経つと、再びお姉さんはムチのような言葉を持って現れます。
「人生の逆算を趣味にしなさい」
きゃー!怖すぎー!と思いつつも、言われるがままに私の趣味は人生の逆算となり、ここまでやってきました。
愛のムチを振るいまくる姉さんをはじめ、婚活パーティの猛者を自ら名乗る女性や、男を転がす小悪魔ガールなどなど……。
出会った方々の経験をすべて血肉になるまで吸収し、なんとか標的を絞り込み、一般男性を羽交い絞めにして結婚した。ここに至るまでには、何度もへこたれそうになりました。いや、何度もへこたれて泣きました。だけど、地元の友人へのコンプレックスを力に変えて立ち上がってきました。
この1冊はそんな私の物語です。
いつか王子様が現われたら結婚したいわ、と思っているあなたや、そんなことを言ったって出会いがないのよねー、と思っているあなたや、なかなか結婚の匂いを醸しださない彼と付き合っているあなた、そして、ただただ横澤夏子ヤバいやつじゃんと思っているあなたにこの1冊が届きますように。
横澤夏子単独ライブ「出版ガール」開催!
日時:7月20日(金) 19時会場 19時半開演
場所:東京・ルミネtheよしもと
料金:前売り3,000円 当日3,500円
https://ty.funity.jp/ticket/show/page?clientid=yo...