こうあるべき」という個人の道徳観が、孤独を生み出している。

「なぜ避妊をしない人がいるのか」「なぜ人は不倫をするのか」「なぜ風俗で働くのか」といった問いに対して、分かりやすい答えを出すことはできません。避妊も不倫も性風俗も、失敗した場合の出口(結末)が分かりやすいために叩かれがちですが、入口の動機は無数にあり、複雑で不確定なのです。個人の道徳観や感情的な好き嫌いを根拠にするのではなく、ひとりひとりが抱える「小さな物語」を見つめていくことについて、考えてみます。

6 孤独と避妊

【18歳の問い⑥】
 妊娠した女子高生が学校のトイレで出産したり、産んだばかりの赤ちゃんを遺棄してしまうニュースが流れていて、胸が痛いです。でも、そもそもなぜ避妊しなかったのか、全く理解できません。避妊しなければ妊娠するなんて、当たり前のことなのに。考える力が足りないんじゃないの?

●妊娠は、人を選ばない

確かに、あなたの指摘はごく真っ当です。避妊しなければ、妊娠する。中学生でも分かる理屈です。そうした理屈が分からずに軽率にセックスし、望まない妊娠をして、周りの人間に迷惑をかけ、赤ちゃんを不幸に追いやる。そんな連中はけしからん、自業自得だと憤るあなたの気持ちもよく分かります。

セックスの時に避妊をしない人たち、結果として思いがけない妊娠をしてしまう人たちはみな理性が弱く、性に関する知識や一般常識の欠如している残念な人たちに違いない。そういった先入観を抱いている人もいると思います。

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孤独と性をめぐる11のレッスン

坂爪真吾

高校の三年間、友だちは一人もできなかったし、恋人も作れなかった。恋愛もセックスも何一つできなかった。一発逆転を賭けて東大を目指すも、センター試験は全教科白紙で提出。すべてから逃げ出した坂爪少年は「卒業式が終わったら、自殺しよう」と決意...もっと読む

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restart20141201 アウトはアウトで「退場」してもらわないと、周囲の人間に「望まぬシワよせ」を強制することになる。 妊娠は、人を選ばない。|坂爪真吾| 7日前 replyretweetfavorite