「所有」ではなく「シェア」する時代へ
ひと昔前まで、家計における三大支出は、「家」「車」「保険」でした。
住宅ローンを組んでマイホームを手に入れ、自動車ローンでマイカーを購入し、万一に備えて生命保険に入る。いずれも高額で、長い時間をかけて毎月支払いを続けることになるので、家計に占める割合は当然大きくなっていました。
しかし、今は「所有」する時代ではなく、「シェア」する時代です。何でもかんでも自分のものにするのではなく、使った分だけ支払うのが当たり前になってきています。
たとえば住居に関していえば、マイホームをもって初めて一人前という時代の雰囲気がありました。しかし、今では若い人を中心にマイホーム信仰は崩れ去っています。賃貸で住みたい地域や物件に住むほうがクールだとされています(住居費についての考え方はあとでくわしく述べます)。
また、若い人の間では、シェアハウスも一定の支持を得ています。友人と部屋をシェアすれば、広めの部屋に安価で住むことができます。誰かといっしょに住むことが苦にならない人であれば、住居をシェアするという発想もありでしょう。
車についても、若者の自動車離れが加速しています。
地方に住んでいて通勤に利用するなら自家用車は生活必需品といえますが、少なくとも都心では車をもたなくても十分に生活は成り立ちます。都心は公共交通網が発達しているので移動はラクですし、渋滞に巻き込まれる心配もありません。
また、コストの面でも車を所有することは大きな負担になります。自動車ローンはもちろんのこと、駐車場代やガソリン代、税金、車検料など維持費用もバカにならないのです。
したがって、都心でマイカーを所有するくらいなら、タクシーやレンタカーを活用したほうが安上がりです。
もちろん、移動のたびにタクシーを利用するのはムダ使いですが、荷物が多いときや天候が悪いときなど必要に迫られたときはタクシーに乗ってもいいでしょう。少なくともマイカーを所有するよりは圧倒的に安くすみます。
ちなみに、東京では初乗り運賃が 4 1 0 円に値下げされて、気軽に利用しやすくなりました。突然の雨に降られて 5 0 0 円でビニール傘を購入するよりもワンメーターで移動できる距離ならタクシーに乗ってしまったほうが安いのです。
また、ちょっとした旅行に出かけるときも、レンタカーを借りれば事足ります。車を使うような遠出は、せいぜい月に 、 度でしょうから、そのためにマイカーを所有するのはコストパフォーマンスが悪いといえます。
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