婚活女(35)がする浮気の正直すぎる痛い言い訳

昨晩、ユウカがした浮気を強く責めた池崎。池崎はソファーで寝て、ユウカは寝室で寝た。一緒に暮らしていて初めてのことだった。

朝、ユウカが目覚めると、羽毛布団はしっかり自分だけを覆っていた。

池崎がかけてくれたのだろうか……。

もう部屋に池崎はいないから、確かめようがない。

6時30分。

いつもは池崎も同じ時刻に起きて、池崎がシャワーを浴びている間にユウカが朝食の支度をして一緒に朝食を食べる。そして7時45分に池崎は家を出る。

でも今日は、6時30分なのに、池崎はいない。流しには牛乳を飲んだコップだけがひっそりと置いてある。おそらく池崎は会社に出社したんだろうけど、ラインをしてそれを確かめることを躊躇した。

この今朝の状況は、ユウカがまったく想像していない状況だった。

昨日秘密を打ち明けるまでユウカが想像していた展開は、次のような展開だった。

想像① ユウカ、池崎に高畑のことを打ち明ける。(プロポーズされたことまで)拗ねる池崎。池崎にプロポーズされる。池崎とゴールイン。

想像② ユウカ、池崎に高畑のことを打ち明ける。(プロポーズされたことまで)何でもないように振る舞う池崎。(心中は複雑だろうが強がっちゃう池崎)しばらくしてプロポーズされる。池崎とゴールイン。

どちらにしても、池崎から別れを切り出してくるなんてまったく想像していなかった。ユウカの頭の中では、優先権は池崎にあったのに、それを放棄してくるなんて……。

35歳をすぎた今でも、いまだに浜崎あゆみ的恋愛体質から抜けられない(西野カナではない)ユウカは、こんな風に考えていた 。

“どんな時でも、私のそばにいてくれる人が大切”

“どんな時でも、私を支えてくれたあなたがいたから、いまの私がある”

……今が、その「どんな時も」なんじゃないの。

どんな時も、って怪我をしたり、病気をしたり、仕事で凹んだりした時だけじゃないよ。

ユウカは、自分の犯した過ちを過ちと思えなかった。

だって、やっぱり、仕方なかったんだから。ユウカは浮気(遊び)だったら悪いと思うけど、本気であの時は高畑を求めていた。いつだって、全力で人生に立ち向かうユウカは、自分の人生を全うしてるだけだ、そんな気持ちがやっぱり強かった。

その結果、池崎を傷つけたことは悪いと思うけど、それでもやっぱり、仕方がなかったとしか思えなかった。

それなのに、「どんな時」もそばにいてくれると言ってくれた池崎なのに、こんなにあっさりと冷たい反応をしかえしてきたことに、ユウカは戸惑いと反発を徐々に覚え始めていたが、そこは池崎の気持ちを理解してあげるつもりでいた。

ユウカは、こんな時に思い出すことじゃないとは思うんだけど、自分のことを台風って喩えたアキと自分は実はよく似ているところがあるとあらためて思った。

その時の風の方向次第でいろんなものを巻き込みながら前に進む。それが前なのか、後ろなのか、良いことなのか、悪いことなのか、そんなことはどうだっていい。

たくさんの風と雨を撒き散らしながら進むけれど、その実、真ん中には何もない。

でも、たぶん、それが人生の本質なんだろうし、みんな大きかろうと小さかろうと心に渦を持っていて、他人に迷惑をかけられたり、かけたり、誤解されたり、理解されたりを繰り返しながら、前に進んで行く。風が静まる時は人生が終わる時なんだろうと思えた。

ユウカはとりあえず気を取り直して、未来のことを考える。

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結婚できない2.0〜百鳥ユウカの婚活日記〜

菅沙絵

友人たちが彼女につけたあだ名は「レジェンド・ユウカ」。結婚市場に残された最後の掘り出し物という意味だと説明されたが、たぶん揶揄する意味もある。妥協を知らない彼女が最後にどんな男と結婚をするのか、既婚の友人たちは全員興味深げにユウカさん...もっと読む

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34colorchoice79 こえーーーーーいやーーーなんか、ちょっと、ほんのちょっとわかっちゃう自分もこえーーーー 5ヶ月前 replyretweetfavorite