先日、とある著名な女性が「いま好きな女性がいる」とネット記事で述べられていた。
その発表を見たとき、わたしは少し驚いて、その後「はぇー、素敵なことだなぁ」としみじみ思ってしまった。ああ、時代はこうやって変わっていくんだ、と感じたのだ。
誰かや何かのことを好きで、そのことを隠さなくてはならないというのは、どこか後ろめたくてやっぱりしんどい気がしてしまう。もちろんこれは外野の意見で、当の本人からすれば大きなお世話だろうが、それでも自分の「好き」について隠しても隠さなくてもいい状況であったほうがいいよなぁと思う。隠すにしても隠さないにしても選択肢を両方持っていたい。そもそも誰かの「好き」にケチをつける権利なんて、誰にもないはずだろう。
人は変わるし、時代は変わる。
誰かが、誰かや何かのことを好きという気持ちを隠さなきゃいけない時代なんて、はやくずっと前のものになればいい、とわたしは思う。
前置きが長くなったけれど、最近わたしが読んでいる漫画は「自分の好きなものをこれまで隠していた」女の子が主人公なのだ。そしてこの漫画は、「何かや誰かのことを好き」という気持ちから人が少しずつ変わっていくさまを、丁寧に丁寧に見せてくれているのである。
しょ、紹介したいっ。ので、する。
75歳がBL漫画に恋をした!おばあちゃんと冴えない女子高生の変身物語
『メタモルフォーゼの縁側』鶴谷香央理
(角川書店)
物語は、75歳のおばあちゃんが「BL漫画」に出会う場面から始まる。
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