名刺ゲーム

あなたのお渡し会、パンツ見せても六十五人しか集まらないんですね。

――あの子、うちじゃ稼ぐなんて無理だよ。事務所辞めてAVにでも出るしかないよ。
今までは運は誰にでも平等だと思っていたい自分がいた。自分の所に運が落ちていることに気づけるかどうかで成功する人とそうじゃない人に分かれるけど、運は平等に落ちてくるものだって。だけどマイカさんを見ていると、運も神様も不平等だと思わずにはいられなかった――。心に響く台詞が満載の『名刺ゲーム!

4th Stage

ダッシュカンパニー マネージメント部 山本司

 三枚目の名刺を返してもらった男性、松永累さんが部屋から出ていったあとに、玉虫色のスカーフをした男性は神田さんに聞きました。

—日本人の誰もが好きな名曲があるとする。その曲で命を救われた人もいる。だけど、それはアーティストが覚醒剤を打って作った曲だとしたら、どうでしょう?

 突然すぎる質問。その時には気づけなかった、私に対して投げている質問だったって。

 神田さんの持っている名刺は残り三枚でした。

—大山高校教諭 薄井忍。

—AYUZAKエージェンシー CEO TAGAMI NARIKAZU。

 そして、私の名刺。

—ダッシュカンパニー マネージメント部 山本司。

 神田さんの前に残っているのは私と、もう一人、目に復讐心を宿したような男性。神田さんが名刺を見つめたまま動けないのを見ると、玉虫色のスカーフをした人は言いました。

—悩んでるフリ、やめてください。確実に分かるやつあるでしょ、一枚。

 この部屋に入ってきた時から、神田さんは私のことだけは分かっていました。私の顔と名刺だけは一致していた。

—ダッシュカンパニー 山本司さん。分かってるでしょ?

 分かっているけど神田さんは私に返せなかった。返したくなかった。

—返しづらい理由でもあるんですかね? 子供の前で。

—そんなものないです。

—だったら返せばいいじゃないですか。どんな関係なのかを説明しながら。

 きっと神田さんは、壁に磔にされている息子の和也君には聞かれたくない、知られたくないんだと思う。だからここまで私の名刺を返せなかった。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

人気放送作家がサラリーマン社会の暗部を抉る、ノンストップ・サスペンス!

この連載について

初回を読む
名刺ゲーム

鈴木おさむ

家族も部下も切り捨て、人気クイズ番組のプロデューサーまで上り詰めた神田達也。ある夜、息子を人質にとられた神田は謎の男から「名刺ゲーム」への参加を命じられる。だがそれは、人間の本性を剥きだしにしていく《狂気のゲーム》だった――。WOWO...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません