超歌手

かまいたちの声

現代を生き抜く至言満載!
妥協なき創作活動で支持されるミュージシャン・大森靖子が、生死、社会、芸術、偏愛まで余すことなく書きつけた、超本音エッセイ集『超歌手』(6/7発売)。
本書の刊行を記念し、cakesで一部を特別公開します。
くだらないを壊せ。美しく生きろ。

■たぶんもう無理かもでも

何をしても何も伝わらないような、だから話すのももうおっくうになっていて、たぶん私がしゃべっているのは誰かにとっては日本語ですらないんだろうな。共通言語がない、誰に対しても。あなたの言葉で話す自信がない。余裕で友達いらない。まともに真摯にプロレスできないなら喧嘩ふっかけてくんなよなまじで。想像力さえある程度あればルールなんてつくらなくてすむのに、あれはいいですか、これはだめですか、と聞いてしまうのは、ホント日本の義務教育の腐った部分だと思う。自分はそういうのはごめんだ。

何となくふわっと優しさで成り立たせたい、無理にしたくない、でももう無理だろう。やるせなさは肉肉肉でどうにかするしかない。食うんだよ肉を。成功する人は肉を食うらしい。そんなこととは関係なく私は肉を食う。柔らかい肉。炙あぶりレバーって最高のレバ刺し抜け道。美味いし。あー寒い。何もかもが嫌いになりそうなときは、何もかもを嫌いでいたいときだ。君のことは思い出さない。よごれてくれるなよ。そんなときはだからそれが、私がいる理由なんだよな。つまんね、寒いからだな、元気だね、頑丈だね、と言われるだけでむかつく。妊娠してどのくらいライブできるかを聞かれたので、「発表もしづらくて、体調も不安定な五ヵ月目の安定期までのほうが大変で、あとは全然生まれるギリまで、中止のリスクを与えない自主イベントとかならライブできましたよー」と答えると、「まあ、靖子ちゃんはそうだけど、○○ちゃんは体弱いからねー」とか言われたけど、たぶんそいつより私のほうが体は弱いけど体弱い自慢するのもイヤだし、ムカつきが蓄積していく一方だ。どんな状態でもステージには最強な自分で出られるというだけだ。たぶん自律神経がダメなんだと思うけど、もう慣れた。よゆーですよまじで、だってこんなことを書いたところで何にもならない。あきれられるだけである。そんなことすらどうでもいいくらい、何でも書くと思うけど。どうでもいい。どうも思われないくらいなら、私だけ違う言語の人みたいなら、どうせなら、嫌われてもいいから、声よかまいたちのように君の耳にカスれ。

君の声が聞こえる。

助けてとか、死にたいとか、おなかすいたとか、かわいいとか、ブスとか、天才とか、枯渇したとか。聞こえないと聞こえないで不安になるだろうし、聞こえるかぎり私は聞こえるほうにそのたびに寄り添いにいってしまう派だ。

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現代を生き抜く至言満載! 超歌手・大森靖子による超本音エッセイ。

超歌手

大森 靖子
毎日新聞出版
2018-06-07

この連載について

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超歌手

大森靖子

現代を生き抜く至言満載! 妥協なき創作活動で支持されるミュージシャン・大森靖子が、生死、社会、芸術、偏愛まで、余すことなく書きつけた、超本音エッセイ集『超歌手』(6/7発売)。 本書の刊行...もっと読む

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コメント

chou_kaorinn » 途中までしか読めんけど、こんな強烈な緩急のある文章を書けるようになりたい 超歌手で一番印象に残ったエッセイだ 1年以上前 replyretweetfavorite

oomoriseiko おはよ 今日もなんとかガンガンいきましょう #超歌手 読んでくれた人〜? 本日サイン会です https://t.co/fFvsYeS3Vz 2年以上前 replyretweetfavorite

kanbe310 歌手とプロレスって近いんだな。「まともに真摯にプロレスできないなら喧嘩ふっかけてくんなよなまじで。」って " #大森靖子 2年以上前 replyretweetfavorite