家より庭を作りたい

長野県東御市で「パンと日用品の店 わざわざ」を営む平田はる香さん。平田さんが公開した記事「山の上のパン屋に人が集まるわけ」が大いに反響を呼び、独自の経営スタイルや働き方に注目が集まっています。
前回、こだわりのマイホームを建てた平田さんが次の取り組んだのは庭づくり。どんな庭にしようかと想像するなかで、幼い頃、野山を駆け回った記憶がフラッシュバックしていきます。


10年目の庭は木が生い茂り、引っ越してきた時のことが嘘のよう

幼い頃の思い出を庭に映し出す

家づくりをしている段階で、家づくりより夢中になってしまったことがある。そう、それは、庭。家はもちろん大事だけれど、菊池さんに設計を頼んだ時から、家の中の導線や素材などの細部は相談して、それ以外の設計やデザインはお任せする方向になっていった。菊池さんはご夫妻で設計を行っていて、大枠の設計は旦那様が、細かい部分は奥様と分担しておりとてもバランスがいい。家の外観は、環境に溶け込む奇抜でないものとだけお願いした。

ともあれ、家の設計概要が終わるか終わらないかという時には、俄然、庭に興味が移ってしまった。夫は庭にさほど興味もなく、私の独壇場となった。庭の本を図書館から借りて片端から読み漁る。図鑑、ガーデニング、花の本、植物関係の本は何でも借りてきて目を通した。その中で一番興味が湧いたのは、木の本だった。木がいい。

毎日、スケッチブックに庭の絵を描いて妄想するようになった。土地のこの部分に家ならば南側を庭にしよう。西側の道路側に木を植えて、ここに石を引いて小道を作り、ここは芝生の広場にしよう。できることならば雑木林のような庭を作ってみたい。幼い頃に遊んだ静岡の山中の風景が脳内を駆け巡る。またあんな風に暮らしたい。ちょっと前は、都会暮らしに満足していたはずだったのに、野山を駆け回った記憶がフラッシュバックして、庭に思い出が映し出されていく。

家づくりをきっかけにこんな風に幼少期を懐かしむとは夢にも思わなかった。花には全く興味が湧かない。兎に角、木をいっぱい植えたい。揺れる木の葉、木漏れ日、そよぐ風、駆け回る子ども、そういうイメージがひたすら膨らんでいった。秋になれば紅葉して、落ち葉の絨毯がそこら中に広がり、春になれば中央にできた芝生のスペースで子どもが裸足で駆け回る。大きくなった木に子どもが登り木の実を摘んでは、手と口の周りを真っ赤にして食べるのだ。畑も作りたいし、家族が食べる分の野菜を作りたい。うん、絶対いい。

季節になると子ども達は庭でおやつを探す。ジューンベリーを二人で仲良くわけっこ

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わざわざ平田の移住日記

平田はる香

長野県東御市にある「パンと日用品の店 わざわざ」。山の上の長閑なこの場所に、平田はる香さんは2009年にひとりでお店を開きました。平田さんがnoteで公開した記事「山の上のパン屋に人が集まるわけ」が大いに反響を呼び、独自の経営スタイル...もっと読む

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コメント

8kontaku8 木を1人で植えるのは本当に大変ですよね。うちは植えるために小型のユンボーを買いました。自分のペースでコツコツと庭を造り続けます。 2ヶ月前 replyretweetfavorite

8kontaku8 木を1人で植えるのは本当に大変ですよね。うちは植えるために小型のユンボーを買いました。自分のペースでコツコツと庭を造り続けます。https://t.co/encC6JEp80 2ヶ月前 replyretweetfavorite

nabeemichi うちの実家も木たくさん植えてたなー。 2ヶ月前 replyretweetfavorite

nishi19 そして僕は、この庭のある家に住みたくなってきた。 2ヶ月前 replyretweetfavorite