第1回】 ザ・ボディショップ(イオンフォレスト)元社長 岩田松雄cakes特別インタビュー(前編)

疲弊した組織の意思統一をはかるために、新社長は毎週月曜日、全社員に向かって手紙を書き続けた。かくして売り上げは倍増し、奇跡のV字回復は起きた! ザ・ボディショップ(イオンフォレスト)で社長、スターバックスでCEOを務めた岩田松雄さんが、毎週書き続けた伝説の「マネジメントレター」を初公開! 第1回は岩田さんのcakes特別インタビューの前編です。(取材・小幡恵)

「私が『部下の心を1分で動かすマネジメントレターの秘密』を書いた理由」

 この本は、私の「ザ・ボディショップ時代」の経験を、社員に向けた手紙(マネジメントレター)とともに綴ったものです。
 私は、だいたい「元スターバックスCEO」として紹介されることが多く、これまでの著書もスタバを中心に書いてきました。
 スターバックスコーヒー時代の2年間で、実際私は多くのことを学んだし、結果を出すこともできましたが、実はその基礎になったのは、スターバックスの前に社長を務めたザ・ボディショップの時代だったのではないか、と思っています。
 私がザ・ボディショップジャパン(イオンフォレスト)の社長をつとめたのは2005年から2009年です。1976年にイギリスで生まれたザ・ボディショップは、1990年に日本に上陸し、一時は大ブームになったものの、2005年当時は売り上げも利益も落ち込んでいました。
 この状態をなんとかしてほしい、と頼まれて就任しました。ザ・ボディショップでの4年間というのは、本当に苦労の連続だったけれど、経営者としてやりがいのある充実した4年間だったと思っています。
 男性にとってザ・ボディショップは、スターバックスコーヒーほど知名度がない会社かもしれないけれど、私はこの会社でたくさんのことを学びました。創業者のアニータ・ロディックに出会うこともできた。アニータは亡くなったけれど、今も私が心から尊敬する人間のひとりです。
 ザ・ボディショップでの経験がスターバックスにつながり、今後の自分の生き方の「中核」でもあると思っています。

 最初に社長を経験したのは、「アトラス」というゲーム会社でしたが、このときは試行錯誤の繰り返し。とにかく大変だったことばかりが思い出されます。二度目に社長をつとめたのが、このザ・ボディショップです。ザ・ボディショップ時代は、苦労も多かったけれど、少しずつ歯車がかみ合って、いい方向に回るようになっていき、すべてがどんどん目に見えて変わっていきました。会社の雰囲気、お店の空気、本社スタッフの態度や言葉、目の輝き。それに仕事のしかたや、言葉づかいも。半年たったころから、売り上げ、利益で結果が出てきました。そこから32ヶ月連続で予算を達成することができました。
 社員と一緒に努力を続け、それが結果につながるのを目の当たりにすることができたのは、本当にラッキーだったと思います。どんなに一所懸命やっても、必ずそれが売り上げや利益につながるとは限りません。私は運も強いんですよ。

 私は大学を出てから、日産自動車の営業マン、外資系のコンサルタント会社、ゲーム会社の社長などを経験しましたが、小売業はザ・ボディショップがはじめての経験でした。わからないことだらけだったけれど、確信していたのは「小売りも人ビジネスだ」ということでした。商品と店舗があれば、店員さんは全部バイトかパートでいい、なんていう考えは間違っていると思います。大事なのは「人」。それも、お客様と常に接する最前線の店員さんを一番大事にしなくてはいけないのです。
 私が毎朝出勤するのは本社で、毎週月曜の朝礼は数十人の本社スタッフだけを前にして行われます。でも、私は全国のお店のスタッフにも、同じ話を聞いてほしかった。君たちは、離れ小島で奮闘しているんじゃない、ちゃんと私は見てるし、応援してるんだから、頑張って欲しい、と伝えたかったんですね。
 日曜日の晩に、毎週家で原稿を書きました。1回3000字を目標にしていましたから、3、4時間かかる。毎週、日曜の夜は憂鬱でしたよ。
 それでも、休まずにつづけました。

 これが「マネジメントレター」です。 当時は単に「朝礼の原稿」とかよんでいましたが、要するに「社長から社員への手紙」ということです。お店にはメールで送りましたが、店長さんがプリントアウトして、従業員控え室の壁に貼りだし、スタッフみんなが読んでくれたそうです。毎週月曜を楽しみに待ってくれるスタッフが増え、みんなとの距離がうんと近くなった。「目標予算を達成したら、社長にメールを出そう」と励ましあってがんばっている店長さんたちは、本当にかわいくて、みんな素敵でしたよ。

 ザ・ボディショップ時代のマネジメントレターの「生原稿」をぜひ見せてほしい、と編集部にたのまれたことが、この本を書くきっかけになりました。
 実はこの時代の原稿は、捨てるつもりだった古いパソコンに入っていました。何年も放置しておいたノートパソコンの電源ボタンを押すと「ういーん」とヘンな音はするものの、まったく起動しなかった。パソコンに詳しい息子にSOSを出して、なんとかテキストデータを取り出すことができたんです。
 マネジメントレターからは、当時の私の思いや戸惑い、疑問、喜び、ときには怒りなども読み取ることができます。
 「社長っていうのはこういうことを考えているのか」なんて思いながら読んでいただけたらいいな、と思っています。
※次回は6月12日(水)に掲載いたします。

 

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部下の心を
1分で動かす
マネジメントレター
の秘密

岩田松雄
[発行]角川書店[発売]角川グループホールディングス
発売日:2013/06/08
定価:1470円(税5%込)

 

 

角川新書

この連載について

部下の心を1分で動かすマネジメントレターの秘密

岩田松雄

疲弊した組織の意思統一をはかるために、新社長は毎週月曜日、全社員に向かって手紙を書き続けた。かくして売り上げは倍増し、奇跡のV字回復は起きた! ザ・ボディショップとスターバックスでCEOを務めた著者が毎週書き続けた伝説の「マネジメント...もっと読む

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ora109pon https://t.co/F2evLQuOBv https://t.co/DdpZa8nUGv 2年以上前 replyretweetfavorite

redsei1976 なつかしいな。よんでみようかな。 3年以上前 replyretweetfavorite

photoenzo アトラスの社長もしてたんだ… 約5年前 replyretweetfavorite

kadokawaone21 本日よりcakes新連載! 30万部突破の『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』(サンマーク出版)の著者、岩田松雄氏に、新著『 約5年前 replyretweetfavorite