東大生に勝てない! 挫折を味わった新入社員研修
2010年のDeNA内定者は57人。そのうち女子はたった5人で、周りは東大・京大卒ばかりでした。私は同期の中で一番学歴が低く、またもや学歴コンプレックスに苦しめられます。
しかし、そんなアウェーの環境下でも、なんとか東大生に勝ちたい! と奮闘し始めます。TNKで活動している頃から、いつしか「東大生に勝つ」が私のテーマになっていたのです。
私が優秀な東大生に勝てるのは、どんな部分だろう?
自己分析してみると、「コミュニケーション能力」と「行動力」でなら、彼らに勝てるかもしれないと思いました(おそらく、南場さんが面接で評価してくださったのも、この部分でした)。
じゃあ、その能力を活かせる職種ってなんだろう?
考えるうちに、「そうだ、営業だ」と思いつきます。得意なコミュニケーション能力と行動力でなんとかできるはず、と思ったのです。営業なら、学歴に関係なく誰もがフラットな立場で戦えます。努力次第でなんとかなる世界に憧れていました。
入社するとすぐに、新入社員研修が始まりました。5人1組のチームを作り、DeNAの次の柱となる新規ビジネスを考える、というものでした。
1ヵ月かけてコンテスト形式で行われたのですが、恐ろしいことに開始から2週間後のプレゼンで上位半分に残れなければ即解散。他の優秀なチームに統合されてしまうという、ものすごくサバイバルなものでした。
私のチームは残念ながら、すぐに解散してしまいます。2週間、知恵を絞って必死に考えたアイディアは、会社にとっては価値のない、ちっぽけなものだったと思い知らされました。
今思うとこれは、企業の仕組みを1ヵ月に凝縮して学べる研修でした。非注力事業を考えているチームは解散させられて、筋のいい事業を考えているチームに再編される。採算がとれない事業は淘汰される、ということを学んだのです。
この研修では最終的に、超優秀な人だけが集められた選抜チームが作られました。入社してすぐに、「同期の中でこの5人が最も優秀です」と格付けされたわけです。
ここで選ばれた5人は、社内の花形部署と呼ばれる新規事業推進室やmobage(以下、モバゲー)開発室に配属されました。スタートからここまで差をつけられたことに、私は衝撃を受けました。
私はといえば、解散後に統合されたチームでも目立つことはできず、希望していたモバゲー営業部に行くこともできず……。オンラインモールのbidders(以下、ビッダーズ)営業部に配属されることになりました。
ここでの営業の仕事は、オンラインモール内にWEBショップを開設している人に広告枠を売る、というもの。「サイトのトップに表示される広告枠を買ってもらえれば、ページビュー(PV)数が上がり、売り上げに繫がりますよ」といった具合に提案をするので、コンサルティングの要素もありました。時には電話一本で、面識のない相手に対してモールの初期出店費用の数十万円を販売しなければならない、という過酷な業務でした。
当時、携帯ポータルサイトとして業界トップクラスだったモバゲーの営業先は、有名ナショナルクライアントが中心。大手企業を相手に仕事ができます。一方、ビッダーズは楽天、ヤフーに次ぐ業界三番手のサービス。営業相手は個人事業主が中心でした。同じ営業でも、規模がまったく違うのです。
営業というフィールドで東大生に勝つことを目標にしていたのに、私は彼らと同じ土俵に立つことさえできなかった……。入社早々、出鼻をくじかれ、ずいぶん落ちこみました。
さらに、最初はなかなか契約を取れず、落胆の日々を送ることに。それでも、絶対に負けたくない! と思っていました。新入社員研修の時のような、目立てない自分のままでいるのは嫌だったのです。
弱肉強食の社会で生き残るためには、何か強みを作る必要がある。やはり、営業を極めなければ……! そう思い直し、今いる環境で最大限に活躍する道を模索し始めます。
まずは、ビッダーズ営業部の同期の中で一番になりたい。毎回、目標金額を必ず達成し、今年の新人賞を獲りたい。そう目標を定め、試行錯誤を続けました。
誰よりも多く架電し、顧客と密なコミュニケーションを取って関係を築くことで、売り上げにつなげる。私の得意分野である、コミュニケーション能力と行動力を活かした営業活動を展開し始めます。
その成果は次第に数値にも表れるようになりました。同部署の目標金額達成率は平均80%くらいでしたが、私はなんと3ヵ月連続で目標金額を達成できたのです。入社2年目には成績が認められ、ついに念願のモバゲー営業部へ異動できることになりました。
新卒初の減給処分を受ける
実績を作れたことで自信もついた私は、気合十分。堂々とモバゲー営業部に乗り込みました。
ここではモバゲーのサイト内に表示される広告を販売したり、モバゲー上での企業タイアップやキャンペーンの企画をしたり、というのが主な業務。しかし、そこに待ち受けていたのは、さらなる挫折だったのです。
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