澤宮優
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第3回】松坂大輔の場合(98年西武入団)
ダイヤの原石を発見し、口説き落とし、育て上げる。プロ野球チームを陰で支えるスカウトたちの眼力と技術力と人間力は、どんな組織にも通用する知恵の宝庫だった! 今回のcakesでは、松坂大輔投手の心をがっちりとつかんだ、横浜のスカウト稲川誠氏のエピソードをご紹介。
熱意が大物を動かす
平成の怪物、松坂大輔。横浜高校時代に選抜大会、夏の全国選手権大会で優勝。高校生で152キロの球を投げていたという豪腕だった。西武ライオンズ入団1年目から16勝を挙げ、最多勝利投手。通算3回の最多勝、最優秀防御率2回、最多奪三振4回、沢村賞、新人王を受賞した。後にメジャー・リーグに移籍して、レッドソックスの1年目に15勝、2年目には18勝3敗、防御率2.90という成績を挙げた。
彼が高校時代に希望した球団は横浜ベイスターズであった。
ドラフト会議前にも「僕は横浜しか行きません」と自身の口から語っていた。松坂をそう言わしめたのは、横浜のスカウト稲川誠の熱意が大きかった。
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この連載について
澤宮優
ダイヤの原石を発見し、口説き落とし、育て上げる。プロ野球チームを陰で支えるスカウトたちの眼力と技術力と人間力は、どんな組織にも通用する知恵の宝庫だった! 伝説の名スカウトたちに学ぶ、口説きの奥義。
著者プロフィール
ノンフィクション作家。主にスポーツから文学、映画、歴史、教育まで幅広く執筆している。『巨人軍最強の捕手』(晶文社)で第14回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。主な著作に『この腕がつきるまで 打撃投手、もう一人のエースたちの物語』(角川文庫)『三塁ベースコーチ、攻める』『ドラフト1位 9人の光と影』『ドラフト外這い上がった11人の栄光』『中継ぎ投手 荒れたマウンドのエースたち』『ひとを見抜く 伝説のスカウト河西俊雄の生涯』(以上河出書房新社)『昭和の仕事』(弦書房)『戦国廃城紀行 敗者の城を探る』(河出書房新社)など多数。