かつて、高学歴・高収入・高身長の男は「3高」と呼ばれていた

商売をするとき、ひとが何に注目して意思決定しているかを考えることはとても重要です。たとえば、あなたは付き合う相手(もしくは結婚相手)を、どのように決めているでしょうか。 外見、収入、性格を総合的に判断して決めますか? もしくは、外見はこれ以上じゃなきゃダメとかいうようにある特定の側面に注目して決めますか? どちらがラクな決め方でしょうか?

かつて昭和の時代に、女性が結婚相手の男性に望む条件として、「3高」というものがありました。「3高」とは、高学歴、高収入、高身長という3条件が揃っていることを指します。昭和は遠くになりにけりですが、ずいぶんと贅沢な基準です。やっぱりそうだよね、と思う人もいるでしょうし、別に全部揃ってなくてもいいじゃない、と思う人もいるでしょう。

では、あなたは、付き合う相手(もしくは結婚相手)になにを求めているでしょうか?

女の人でも男の人でも、付き合ったり結婚したりする相手を選ぶときに見る基準はいろいろあります。世の中には、「外見が良くなきゃ絶対に嫌」という人もいますし、「見てくれはよくないけれども、お金さえ稼いでくれたらいい」という人もいますし、あるいは、「見てくれも収入もよくないけれど、とにかく優しい人がいい」という人もいるでしょう。

マーケティングと関係ないでしょ、とまたしても思われているかもしれませんが、何を買うのかということと誰とつきあうのかということは、複数の選択肢からひとつを選び取るという意味で、意思決定という同じ問題なのです。どの意思決定しても、考え方は大きく2つに分けられます。結婚相手の例で考えましょう。

ひとつは、外見、収入、性格を総合的に判断して決めるという考え方です。もうひとつは、外見はこれ以上じゃなきゃダメとか、性格がこれ以上悪い人はダメ、というようにある側面に注目して基準を設定するという考え方です。

いずれの考え方においても前提にしているのは、選択肢は複数の「属性の束」であるということです。「属性」とは、この例だと外見、収入、性格の3つになります。買い物でも同じことです。例えば、スタバのコーヒーは、「330円」で「濃いめのロースト」がされていて、「こういうデザインのカップ」に入っていて……という属性の束だと言えるでしょう。値段、味、カップなどの属性から成り立っているのです。このように、あらゆるものが、さまざまな属性を持っています。

2つの考え方に戻りましょう。前者のような考え方を補償型の意思決定と言います。補償とは難しい言葉ですが、簡単に言えば「補い合う」という意味です。どういうことかというと、外見、収入、性格を総合的に判断して決める場合は

ある短所は別の長所によって補うことが可能だということです。つまり性格が悪くても、収入がよければ、まあいいかという考え方は、性格の悪さという短所を収入の高さという長所が補っているのです。

一方、後者の考え方は、非補償型の意思決定と言います。「性格がこれ以上悪い人はダメ」と考える人は、相手がどれだけお金持ちでどれだけ見た目が良くても、見ているところは性格だけなので、それ以外の属性(つまり収入や外見など)の良さは意味を持ちません。ある属性が別の属性を補っていないのです。

意思決定についての2つの基本的な考え方について、ご理解を頂いたと思います。では、皆さんはどっちの決め方の方がラクだと思いますか?

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