夢の管理人になるための最後のテスト

【管理人の夢⑪】
その後、さらに二つのテストがあり、何となくコツは摑み始めた。もしかしたら、才能があるのかも……。そう思わずにはいられなかった
<WEAVERの河邊徹がドラムスティックからペンに持ち替えて描いた作家デビュー作!>


イラスト:堀越ジェシーありさ



 まださっきと何も変わらない草原だった。

「あれ、なんでだろう」

「うまくいかなかったみたいですね。どこを思い浮かべましたか?」

「職場でした」

「最初はもっと楽しいところを思い浮かべたほうが、うまくいくことが多いですよ」

 さっきあなたが自宅や職場って言ったんだけど、と思いながら、別の景色を想像した。考えてみれば、行きたくない場所をわざわざ想像する必要もない。よし、今度は自分の部屋にしよう。

 目を閉じて景色を鮮明に呼び起こす。慣れたベッド、緑のカーテン、丁寧に本棚に入れられた大好きな漫画、入りきらなくて積み重ねられたDVD、部屋に対して大きめのテレビ。

 まだ観てないDVDもあるんだった。仕事も何もかも忘れて、早くあそこで自分の好きな作品に浸りたい。机の上にあるノートパソコンで、今度は「ファクトリー」のイラストを描いてみようかな。

 ここは自分の部屋。自分の部屋。

 そしてゆっくり目を開いた。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
夢工場ラムレス

河邉徹

WEAVERのドラマー・河邊徹の作家デビュー作。バンドで作詞を担当してきた河邊の 〝言葉の世界〟をドラムスティックからペンに持ち替え、描いた「夢」をテーマにした長編作。 ...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません