想像するだけで思い通りになる能力

【管理人の夢⑩】
一つ目のテストは「浮遊」。まさに読んで字のごとし。宙に浮く力だった。「そんなことできるはずない」と思いながらも、試してみるのだったが……
<WEAVERの河邊徹がドラムスティックからペンに持ち替えて描いた作家デビュー作!>


イラスト:堀越ジェシーありさ



「文字通り、浮かんでみてください。その時に手や足を使ってはいけません」

「手足を使っても、浮かぶなんてできないでしょ」

「忘れないでください、そこは夢の中ですよ。できないことができるはずです」

「……わかったわ」

 私は地面を見つめた。そうだ、これは夢の中だ。できないことができる。まずは自分の体がふわりと浮かんでいることを想像した。無重力、無重力。それから目を閉じて思い描く。宇宙飛行士が浮かんでる映像、この前テレビでやってた。あんな感じでしょ。

 ……しかしそうイメージしても、なかなか体は浮かばない。

「浮かばないですね」

「……なんでかな」

「心のどこかで、夢の力を信じていないからですよ。ここは夢です。現実にできないことができると、心を騙してください」

 心を騙せとは無茶を言う。今まで二十年以上空を飛べない暮らしをして来たのに、今さら空を飛べると言い聞かせるなんて難しい。

「漫画のキャラを想像してもいいですよ」

 そう言われ、私は少年漫画の主人公を思い出した。彼らはいつでも自由自在に空を飛んでいた。あんな感じか。そうだ、空は飛べる、飛べる。

 足の裏にわずかに冷たさを感じた。あれ、もしかして。

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夢工場ラムレス

河邉徹

WEAVERのドラマー・河邊徹の作家デビュー作。バンドで作詞を担当してきた河邊の 〝言葉の世界〟をドラムスティックからペンに持ち替え、描いた「夢」をテーマにした長編作。 ...もっと読む

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