話をしてくれない人」には「壁パス」が有効

人間には相性というものがあります。この「壁」はなかなか乗り越えることができません。こちらが質問しても、相手から短い答えしか引き出せない、会話が成り立たない、緊迫した空気に脂汗が流れる……『聞きたいことを聞き出す技術』の著者・反町理さんも番組でそんな経験をしています。さて、その解決方法とは?

■技術14 信頼関係はたった一度で崩れることもあると認識せよ

相手が全く話をしてくれないとき

 番組に何度もご出演していただいているリピーターの方でも、状況によって、全く話をしてくださらない場合があります。舛添要一さんは国会議員のときから数多くご出演いただいていて、僕としては信頼関係が築けているという自負がありました。

 平成二十八年六月二十一日に舛添さんは都知事を辞任されましたが、きっかけは『週刊文春』の記事でした。同年の四月二十七日発売の『週刊文春』に、舛添さんが公用車で湯河原の別荘に通っていることを摘発する記事が掲載されました。さらに五月十一日発売号では舛添さんが家族旅行や私的な食事代などを公費で精算していた事実を明らかにして、政治資金規正法違反であると批判したのです。この告発記事は第六弾まで続き、海外視察の航空機はファーストクラス、超一流ホテルのスイートルーム宿泊、さらに大勢の随行員を連れた大名旅行であったことなどが報じられました。

 最初は必死に抗弁していた舛添さんも、メディアや都民からの批判にさらされ続けた結果、『週刊文春』に記事が出たわずか一カ月半後の六月十五日、自ら辞職願いを都議会に提出し、二十一日付けで辞職となりました。舛添さんが番組出演されたのは、『週刊文春』に第二弾の記事が出た翌日の五月十二日でした。

「精査、精査」と同じ答えが繰り返されるばかり

 僕としては、この時期に出演してくださるのだから、舛添さんとしてもテレビで直接有権者に訴えたいことがあるのだろうと思いました。自分の都知事としての主張、自分がこれまで都政のために何を考え、何をしてきたのか、石原慎太郎さんや猪瀬直樹さんとの違いであるとか、そういったことをおっしゃりたいのではないかと思い、こちらとしてもそうしたことを聞きたいと思って番組構成もそれを前提に用意していたのです。

 ところがいざ番組が始まってみると、出だしから舛添さんがこれまでになく警戒されていることが分かりました。タイミングが悪かったのかもしれません。ゴールデンウィーク中に第一弾の記事が出て、それから出演依頼をしてご了承いただいたのがゴールデンウィーク明けです。番組の準備を進めているところで、『週刊文春』の第二弾の記事が出てしまった。番組としては、その情報をもとに質問しないわけにはいきません。

 そこで、まずは正月に千葉県のリゾートホテルで行われたという会議について伺ってみました。会議であれば、宿泊棟とは別棟にある会議室を借りて行われるはずです。しかし、ツイッターに上げられた写真は、宿泊棟から撮ったものとしか思えません。それについて尋ねると、次のような答えが返ってきました。

「現在、政治団体が二つ解散している状況で、会計資料を全て集めて精査をしています。その結果が出たところで報告させていただきます」 ただこのホテルにお泊まりになられたのかどうかということは覚えていらっしゃいますよね」と聞いても、「いや、そういうことも含めて今、精査中なのです」としか答えてくださいません。

 次にご自宅の近くの天ぷら屋、イタリア料理店、別荘の近くの回転寿司屋などの食事代が政治経費として計上されていることについて質問すると、「それも精査中です」。 その後も何を聞いても、「それも精査しています」の繰り返しです。

 僕は本来、一つこちらが質問して向こうから答えが返ってきたら、次の質問で問題をさらに掘り下げ、また答えが返ってきてさらに掘り下げていきます。 ところが、このときは入り口の浅いところで、ぐるぐる横に回っているだけで、掘り下げていくことが全くできない事態となりました。

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聞きたいことを聞き出す技術

反町理

「プライムニュース」看板キャスターが究極の話術40を初公開! のべ6800人を超えるゲストを迎え、〝たてまえ〟の政治家からも〝本音〟を引き出す著者が、相手の心を掴み、また話したくなると言ってもらえる知られざる極意を伝授!

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