河邉徹
嫌みな上司に突然呼び出されたのは意外な理由からだった
【管理人の夢⑤】
トラブルは続くものだ。ただ今回は明らかにこちらのミスだった……。翌日の夕方、案の定、嫌みな上司に呼び出された。前日のトラブルのことかと思っていたが、その上司が言ったのは全く別のことだった……
<WEAVERの河邊徹がドラムスティックからペンに持ち替えて描いた作家デビュー作!>
イラスト:堀越ジェシーありさ
「すみませーん」
午前中、窓口にやって来たのは、七十~八十代くらいのおじいちゃんだ。
「ずっと使ってない通帳があったんですけど、久しぶりに記帳したら、知らないお金が振り込まれていまして」
上品な話し方の中に、気さくさを感じさせる人だ。
「どちらですか?」
「ここです」
そう言って通帳を見せてくれた。この種の相談は珍しくない。そして大抵がよく調べると、保険や共済など、忘れている振り込みがあったケースばかりだ。まぁきっと、今回もそうだろう。
「確認させていただきますね」
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この連載について
河邉徹
WEAVERのドラマー・河邊徹の作家デビュー作。バンドで作詞を担当してきた河邊の
〝言葉の世界〟をドラムスティックからペンに持ち替え、描いた「夢」をテーマにした長編作。
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著者プロフィール
1988年6月28日、兵庫県生まれ。関西学院大学 文学部 文化歴史学科 哲学倫理学専修 卒。ピアノ、ドラム、エレクトリック・ベースの3ピースバンド・WEAVERのドラマーとして2009年10月メジャーデビュー。バンドでは作詞を担当。
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