銀行の中でルーティンな仕事と想定外のトラブル

【管理人の夢④】
口を開けば嫌みばかり言う上司と、無口な後輩。さらに最近では忙しくて昼休みを取れないこともある……。そんな職場でのルーティンな一日が始まった――
<WEAVERの河邊徹がドラムスティックからペンに持ち替えて描いた作家デビュー作!>


イラスト:堀越ジェシーありさ



 憂鬱な朝が来て、私はいつものように出勤する。

「おはよー」「おはようございます」

 先に来ていたのは、私の一年あとに入って来た後輩の優妃ちゃんだ。一年前、後輩ができる、それも女の子だと聞いた時は、希望の光が胸に差し込むようだった。既に閉塞感を覚えていたこの職場の空気を、年下の女の子が吹き飛ばしてくれるのでは、と淡い期待を抱いていたのだ。
 しかし、やって来たのは基本無口で、愛想がいいとはお世辞にも言えない、有り体に言って地味な女の子だった。話す機会も少ないので、正直いつも何を考えてるのかわからない感じだが、それでもこちらが教えた仕事はちゃんとこなしてくれる。人事の担当者も、彼女のそういうところを見て採用したのかもしれない。

「おはよう」

 振り向くと、上司の崎田だった。

「あ、おはようございます」

 年齢は四十代前半の細身の中年だ。口を開けば嫌みばかり言う男で、相手を喜ばせようとするホスピタリティが皆無だった。以前「崎田さんは、この銀行長いんですか?」と全く興味もないままに質問してみたら、「君が今日取った昼休みよりは長くないかな」と言われた。想像を絶する角度からの嫌みである。

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夢工場ラムレス

河邉徹

WEAVERのドラマー・河邊徹の作家デビュー作。バンドで作詞を担当してきた河邊の 〝言葉の世界〟をドラムスティックからペンに持ち替え、描いた「夢」をテーマにした長編作。 ...もっと読む

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