今回のテーマは「終わらせたくはないが、続けるのは嫌」だ。
何を隠そう、このコラムが次回で最終回だ。
作家というのは「終わり時を自分で決められない」ということがままある。プロ野球選手だって引退を自分で決められる選手の方が少なく、多くが戦力外通告を受けた後、幼い子供と身重の妻を抱えて年末テレビになんか出た末、結局引退したりしているのである。逆にいうと幼い子供と身重の妻がいなければ、テレビにさえ出ず、ひっそりプロ野球人生に幕を閉じているのだ。
作家だって、どれだけ続きが書きたかろうが、出版社とかに終われと言われたら終わらざるを得ない。もちろん続きが描きたければ個人的に描けばいいので最低9人必要な野球よりは恵まれているが、そこまで気力があるかは別である。
よって「続けさせてもらえる」というのはそれだけで幸運なのだ。だがその続けさせてもらえる事ですら、うぜえ時がある。
会社勤めなどその典型である。ここで継続して賃金を稼いで良いと言われているにも関わらず、死ぬほど行きたくない。毎日辞めたいと思っているし、自分に給料を与えてくれる施設の爆発を心から祈ってすらいるのだ。
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