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こんにちは、きのコです。
このたび、生まれて初めての本『わたし、恋人が2人います。~ポリアモリー(複数愛)という生き方~』が世に出ました。
今回は、出版を通じて感じたことを書いてみたいと思います。
こういう発信をしていて大丈夫だろうか?
本に対して「誠実だ」という感想をたくさんいただいていて、嬉しいやらびっくりするやら。ちょうど前回、誠実をテーマに記事を書いたばかりでもあったし、「なるほど、こういうのが“誠実”ということなのかしら……」と興味深く受け止めています。
そして出版を機に、あらためて感じたこと。それは、自分の中の「ポリアモリーについて語ることへのためらい」でした。
「買いました!」「読みました!」と声を掛けていただいたり、求められてサインをしたりすることはとても嬉しいのですが、同時にどこか戸惑いを覚えている自分もいます。「こういう発信をしていて大丈夫だろうか?」と思います。
もちろん、ポリアモリーというあり方やそれに関する自分の考えを伝えたくていろんな発信をしているのだけど、その一方で、伝わってゆくほどに(ポリアモリーを通して注目されるほどに)感じる不安もあるのです。
私のやっていることは、誰かを力付けたり励ましたりするかもしれないし、私自身も誰かに慕われるかもしれない。けれど、誰かを傷付けたり怒らせたりするかもしれないし、誰かに嘲笑されるかもしれない。それが怖くないと言えば嘘になります。
何年もポリアモリーについて発信してきて、本まで出しても、まだまだ私の中にはそういう揺らぐ気持ちがあるのだな、と気付かされました。
決して心地よい状態とはいえないけれど
私の考えは、がっちりと完成されているわけではありません。自分の言うことが100%正しいとは思っていないし、きっとこれからも思えないでしょう。むしろ、自分の正しさに100%の自信がある自分を想像してみると、なんか気持ち悪いな、とさえ思います。
いろんな意見をインプットしていろんな意見をアウトプットして、それに対して人からまた反応をもらうことで、私の考えはより洗練されたり、ときには混乱したりと変遷してきています。もしかしたら180度ひっくり返ることだって、今後あるかもしれません。
そういう「揺らぎ」や「迷い」を自分のなかに抱え続けるのは、正直、しんどいものです。自分のなかに相反する価値観や感情が混在していて、時にはそのことで葛藤したりもするし、決して心地良い状態とはいえません。
とはいえ、多様性を自分の中にもつって、こういうことなのだろうとも感じています。
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