これまで、業績やキャッシュフローから、スタートトゥデイの特徴や成長率を見てきました。今回はZOZOTOWNの「利用者」の傾向を見ながら、いまもっとも注目されている「ZOZOSUIT」の未来を読み解いていきます。
ZOZOTOWNを使っているのはどんな人?
企業のサービスが、どんな人にどれくらいの頻度で利用されているかがわかると、そのサービスの特徴や規模が見えてきます。さらに、その企業がこれからやろうとしているビジネスが成功するかどうかを判断する材料にもなります。 今回、例に出しているスタートトゥデイのスライドにも、利用者のデータが載っていますので、見ていきましょう。 まずは、「年間購入者数」です。
過去1年に一度でもZOZOTOWNで買い物をした人の数は696万人。かなりすごい数字です。ZOZOTOWNはファッションに特化したECサイトですから、Amazonや楽天のように誰もが利用するサイトではありません。顧客がある程度絞られた市場で、これだけの数を集めるのは簡単なことではありません。
次に、利用者の性別や住んでいる場所、年齢を見てみます。
アクティブ会員とは、過去1年に1回以上買い物をした人です。女性の利用者が多いことや、首都圏に住んでいる人が多いのは予想通りかと思います。1人あたりの購入金額と購入点数はどれくらいでしょうか?
全体的な傾向として、購入点数は右肩上がりに増えているのに対して、購入金額は伸びてはいるものの購入点数ほどきれいな右肩上がりではありません。EC分野では一般的に「スマホ利用者の比率が増えるほど、購入金額は逓減し、購入回数は増える」という傾向があります。ZOZOTOWNの利用者を見ても、この傾向が当てはまっているようです。
自分の購買行動を振り返ってみてください。パソコンであれば「あれもこれも」と一緒に購入することがあるでしょうし、高価な商品であればパソコンでじっくりと比較しながら購入することが多いと思いますし、スマホだと衝動買い的にタップして購入することが多いのではないでしょうか。
「1人あたり」「1回あたり」の数字に置き換えてみる
最新のデータでは年間購入金額が4万6818円、年間購入点数は10.9点とありますが、この集計データを見ても、ZOZOTOWNを利用する人の姿を具体的にイメージするのは難しいと思います。そこで購入金額と購入点数の割り算を行なってみると、「1点あたり4295円」となります。先に見たアクティブ会員属性と合わせて考えると、次のようなイメージが持てます。
ZOZOTOWNを利用するのは30代前半、首都圏在住の女性。1点4000円ほどの服を年11回ほど、ZOZOTOWNで購入する。
集計された数字だとイメージが持ちにくいですが、割り算して「1人あたり」や「1点あたり」、「1回あたり」の数字に置き換えると、そのサイトを利用する人の姿がイメージしやすくなります。割り算を行なって「1人あたり・1点あたり」などの数字を出すようにしておくといいでしょう。
さらに最初に計算したテイクレートを思い出してください。スタートトゥデイのテイクレートは35%でした。1点4000円の商品が売れると、1400円がスタートトゥデイの売上となります。利益率は27.5%だったので1400円の売上ならスタートトゥデイの利益は380円ほどということもわかりますね。
ここまでのデータでもかなりのことがわかりましたが、スタートトゥデイのスライドには、「既存アクティブ会員」のデータも載っていますので、もう少し見ていきましょう。「既存アクティブ会員」=会員登録から1年以上が経過した、ロイヤリティの高い顧客のデータです。